第九首「子供の絵 人は正面 向いていて 目は黒目だけ だいたい全裸」
「もう知ってるとおもうけど、この
和泉は白墨で地面に図を描きはじめる。
「そうなのか」
「そ、ほら、今でこそ料理とかそういうものに技術が使えるようになったけど、焼き芋とかね、ちょっと前までは全部禁止されてたでしょ」
謎の楕円形が地面に描かれる。おそらく芋だ。芋には見えないが。
「でもやっと、何々は使えるとかそういうものが限定列挙で法律に記載されるようになったから、それだけは科学技術が解放されてあたしたちもその恩恵にあずかれるようになったじゃない。例えば、最近は電動
牛が描かれる。しかしよく見ると足が五本ある。これは牛ではないのかもしれない。
「でもやっぱり規模とか浪漫を考えたらあたしは
確かに今でも何らかの機械技術を使う時は、事前に朝廷に申請を出しておかなくてはいけない。それで議会が法律に明文化することでやっとその技術を使用する許可が下りるのだ。
それは相変わらずなのだが、東党の党首に
「そういえばそうだな」
「で、本題の仕組みなんだけど、正直いうと、あたしもよくわかんないのが実状。怠慢っていわないでよ。あたしだって喉から手が出るほど知りたいんだから。
「じゃあ、お前も、わからないのか……」
「話を最後まで聞きなさい! 確かに
「そうだよな……すまん。続けてくれ」
「ま、分かってくれればいいの。
説明が口からとめどなく溢れ和泉はどんどん早口になっていく。目も決まっている。
「じゃあどうやったら重くなるかっていったら、それはもちろんどれぐらいその短歌に想いがこもってるかってこと。だからみんなこぞっていい歌を作る人に
「なるほどな。じゃあ短歌を作れば作るほどどんどん強い力を発揮できるってことなのか」
「それがそうともいいきれないのよ。
「うーむ」
「何よ、まだわかんないの?」
「いや、もう少しで
和泉は無言でまた俺を踏んだ。
そこで記憶と一緒にその時の痛みまで思いだしそうだったので、俺は回想を切って捨てた。
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