第五首「池の鯉 臭み取るのに 塩をふる 少ししょっぱい 恋の味かな」
昨晩があんな感じだったのだから目覚めが良いはずがなかった。
俺は、巨大な親父に追いかけまわされるという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ましたという夢から目を覚ました。
部屋は臭かった。
屁のせいだけではない。
基本的に貴族の部屋は臭い。それはなぜかというと、風呂に入らないからである。
そもそも体を湯で清めるという文化が広まりはじめたのはつい最近のことなのだ。それまでは基本的に香をたいてごまかしていたし今でも大半の奴はそうしている。
自分のにおいというのはよほどのことがないと臭いと思わないものだから臭いと思ったということはよほど臭いのだろう。
さすがにこれで女性のところを訪ねるわけにはいかない。しかし新奇なものは害毒であるとする親父の方針によってうちには風呂がなかった。
俺は衣服をすべて脱ぎすてると、そのまま庭の池へざぶざぶ入っていった。清澄だった水はみるみる濁り、鯉が白い腹を見せて次々に浮かんできた。
池のほとりに置いてある壷からごっそりと塩を手に取り、体に擦りこむ。
そして俺は木桶で水をすくい、頭からかぶった。
再び塩を擦りこみ、水をかぶる。
これを五度ほど繰りかえして俺は池から上がった。ついでに浮かんでいた鯉を残らず木桶にぶちこんでおいた。
朝食は鯉こくだった。
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