第三首「競技前 鞠は磨いて おきましょう 衛生的な 衛星になる」
一部始終を近くで見物していた焼き芋屋のおっさんに睨みをきかせて近寄る。
「おいおっさん! 『
「おひょひょひょひょ。そうだっけかあ? 見たっけかなあ、そんなの」
「とにかくここは立ち入り禁止なんだからちゃんと見てくれないと困るんだよ!
基本的な規則はいたって単純。真ん中が縦にくびれている、瓢箪のような、あるいは鼓のような形状の
これだけ聞くと、何が命の危険などあるものか、子供でも年寄りでもできる玉遊びではないか、という反論が必ずといっていいほどあがってくるが、そういう輩は実践を見ておし黙る運命にある。
規定の高さ、規定の範囲、が問題なのだ。
まず高さだが、高度一〇〇〇〇
こうして半永久的に地球の周りを回りつづけている
話がそれたが、とにかく力を調整して規定の高さを超えつつ、勢いは第一宇宙速度に到達しないよう抑えなければならない。
規定の範囲についてもなかなかに厄介だ。範囲はこの国であればどこでもいいのだが、蹴り上げた地点から五〇
以上の説明に、さっきの俺の失敗例を加えれば、小さなほころびが大惨事を招く危険な競技だということがわかっていただけただろう。
だから、練習中に無断で立ちいっていいわけがないのである。
「ふぅぅ。悪かったよぅ」
「あんた何責任転嫁してんのよ」
ばれた。
「あのねえ、本番を考えてみなさいよ。どんな邪魔が入るかわかったもんじゃないんだから、このくらいで集中を乱してるあんたがいけないの!」
まあ、和泉のいう通りなのだが、このおっさんが規則を破ったのも事実だ。
「なんか不満そうね…………晴! ちょっとこいつになんかいってやってよ!」
「……焼き芋一つください」
「あいよぅ!」
「話を聞けー!」
「俺には二つ」
「あいよぅ!」
「だから話を聞けーーーーーーーー!」
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