第二首「闘球の 球に似たるは さつまいも 蹴鞠の鞠は 帆立に似たり」
叩きこんだ力が炸裂して地面が鳴動する。鋭利な石片が無数に飛びちるが、こちらには届かない。
晴が
しばしの奮闘の末に、
晴のような
晴が腕をだらりと下げると、鞠を囲う
明日文句をいおう。
それより今は目前の問題だ。
晴は肩で息をしている。さすがに負担をかけすぎた。
「すまん」
「ばかーーーーっ!」
肩をいからせながらのしのしと歩いてきたのは和泉だ。
「あんた何やってんのよ! 一歩間違えたら全滅だったのよ! ぜ・ん・め・つ! すまんで済むわけないでしょーが! まだあたしはいいわよ、でもね、あんたの尻拭いを全部したのは晴なんだかんね! とにかく晴に謝んなさい! 謝ってだめなら誠意を見せなさい! 誠意を見せてもだめなら諦めなさい!」
いわれなくとも謝ろうとしていたのに、そこでこう、わかっていることを何度も何度もやれと命令されるとやる気がなくなろうというものだ。しかし、だからといってむっつり黙ってしまうのもおかしな話だ。悪いと思っているのは本当なのだから。
立ちつくしている晴に駆けよる。
「……すまん。少し足元が狂っちまった……」
汗が晴の額を伝う。
「……問題ない。失敗は誰にでもあること」
「そう言ってもらえると助かるぜ……」
「ただ……あなたが失敗するとは露ほども思っていなかった。あれだけ最初に円陣までやろうといって一人だけ異様に士気が高いからどれほどのものを見せてくれるのだろうと期待が高まっていたのは事実。いいだしっぺのくせにお前がしくじったら元も子もないやんけ、とは思ったけれど猿も木から落ちるというから仕方ない。けれどそれは猿のように木登りを熟知するもの——つまりその道の達人と称する類の者がふとしたはずみで思いもよらないような失策を犯したときに使うべきだからそれにあなたがあてはまるかは疑問」
「あの…………怒ってます?」
「怒っていない」
怒っていた。
どうにか怒りの矛先を逸らさないとまずい。
俺は焼き芋屋のおっさんに責任転嫁することにした。
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