赤蜻蛉

さつまい

第1話 戦争孤児

赤とんぼは東京の夜空を駆け回った。

それは、この国の終焉の合図であった。

── 葵颯太少尉【聖夜戦記】


2030年東南アジアは、1つの国家になった。

その名はインゲルス連邦。

インゲルス帝国は、10億の国民や、肥沃な資源などを活かし、米中戦争で疲れ果てた、米、中を凌駕するGDPになった。しかし、インゲルス帝国は中国支配を狙い、日本を手始めに占領しようと日本に宣戦布告をした。

圧倒的な軍事力により日本自衛隊は15年により約7割の兵力を失った。それにより

日本は特別国家緊急事態法を発令。

内容は

1.東京から海岸要塞都市、湘南市に首都移転。

2.20歳以上の男女を3年間の兵役義務を課す。

3.16歳以上の男女は4年の予備役を課す。

4.日本国内の政党を解散させ、日本特別連合党という政党の結成。

5,自衛隊を解散させ、日本国の事実上の軍隊を結成する。

といった30条あたりの法案だ。


湘南第一海軍学校。

それは、もともと私立校だった学校を政府が買収して設立させた学校である。

戦時の今では対イングルス戦線では、前線の基地であり予備役学校である。

いつか昔に陸軍中野学校というものがあったがそういうものだと捉えてくれるといい。

葵颯太は今年特事(特別国家緊急事態法)により湘南第一海軍学校に入学した。

湘一は中学の時に受けさせられた試験により偏差値70の強者が集まる精鋭学校だ。葵は米中戦争の時に日本外資系企業に務める父と中国人の母を失った。戦争孤児である。

桜咲く頃の夕暮れ時。湘一の入学式が行われた。

校長のヒゲおやじが挨拶をする。


「初めに言う。お前らガキの人間性に俺は何も価値を見出していない。ここでの価値は敵をぶっ殺せる力。それだけだ。お前らは4年間で戦闘の知識を学ばせ、憎きインゲルスを打ち倒す力をつけてもらう。」


と話し、「わかったか!」と怒声を上げた


「了」


その場にいる全員が敬礼と挨拶を交わした。

そのあと軽い事務連絡等を副教頭が行い、解散となった。

その後、湘一の寮である「戦慄寮」に向かった。自分の部屋番号は1205と確認して12階まで上がる。むろん、戦時中だ。エレベーターなんか電気を消耗するから使えず、歩いて12階まで歩く。1205室。そこは1LDKの部屋でベットとトイレが備わっていた。

葵は、ベットに腰掛けて呟いた。


「価値を見出してない...か。」


その時。日本海軍。第七防衛島がインゲルス軍に包囲された。日本の守備隊は3万に対してインゲルス軍は30万だ。日本軍は10にわたる壮絶な戦争を繰り広げ、玉砕した。

本土まで1歩インゲルスの足音が聞こえてきた。

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赤蜻蛉 さつまい @Shoma0523

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