第32話 キャラに興味を持ってもらう方法
アンチョコですが。
よくやらかしがちなのが、ドアマットヒロインの方程式を間違って使ってしまうヤツです。これは本当によく見掛けて、勿体ないなと感じていました。
断罪イベント設定というのはよく出来た序盤のキャラ立てエピソードで、丁々発止のやり取りをやらせるだけでヒロインのキャラが立つんですよ。
具体的にはキャラの性格とか主義主張を入れやすいイベントなんです、あれ。
で、ドアマットヒロインもこれの亜種なので、ひたすら耐えるだけの展開にするにしても、その中でヒロインのキャラクターの性質は前面に出していかないと、このイベントを使う意味ないんですよ。
なのに時々、どんな酷い目に遭ったか、可哀想な目に遭わされたか、というトコを重視して書いてる作者さんがいて、だけどそれだとキャラが立つのは悪役なんです。
大事なんで二度書きます。
「酷い目に遭わせたり可哀想な目に遭わせたり」は、そのキャラの晴れ舞台です。
それに受け身のキャラって、難易度高いんですよね…。キャラを立てるのが大変なんです。視聴者と同じ感覚で自分の境遇を見てるようなものなんで、存在感ないし。
キャラを立たせるって、そのキャラの主義主張とかを読者に知ってもらうのが早いんですが、説明とか青年の主張とかは、読者さんは読むの大嫌いですよね?
説明するんじゃなく行動で感じ取らせるんだ、とよく言われる由縁ですし。
だからと思って行動でって、ドアマットな虐げられイベントを思い切りやっちゃうと、今度はそれをやってるイジワル王子だの横取り令嬢だのの方が「アクティブ」に動いてしまって、読者の興味をかっ攫ってしまうんですよね。
「コイツら、気に入らない。早くやっつけられたらいいのに!」というのは、キャラ立ての成功です。読者は悪役がどうなるかを楽しみに続きを読みます。
ドアマットヒロインの虐められエピソードが酷いほど読者に読んでもらえるというのは勘違いで、それはいじめっ子たちのキャラ立てに成功したってことでしかないです。
その後でまた改めてヒロインのキャラを立ててあげないといけないのに、そこを勘違いしていてヒロインのキャラ立てはもう終わったと思ってしまっている作者さん、割と見掛けて勿体ないなと思います。(悪役のド派手なキャラ立てエピソードより印象の強いエピソードを用意することになるんで、難易度も跳ね上がるし…)
30話の「主役が悪役に喰われた状態」ってのの補足説明でコレ書きました。
追記:
鈴木先生がよく「キャラクターの履歴書」を書きなさいね、と仰るんですけども、その真意はたぶん「履歴書が書けるくらいにそのキャラ好きかい?」てことですよ。
私はそう解釈してます。
私は、登場人物一人一人で別の作品書けるぜ、くらいには全員好きです。(笑
たぶん、キャラに愛着を持つのはぜんぜんいいんですよ。ただ、私情を挟むな、てだけです。
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