道のり
第5話 自在への道①
これまで目的地について書いてきましたが、ここからはそのために必要な過程を書いていきたいと思います。
自在への道でまず初めに意識すべきことは
【鍛錬】
です。
武道の型をしようとすると、自分の身体でありながら、思う通りに動かないことに四苦八苦します。
思った軌道で、思った速度で身体を動かすには、並々ならぬ鍛錬が要ります。
自在に曲を奏でるピアニスト達も、生まれながらにそうなわけではありません。
血の滲むように鍛錬の日々が、彼らの指を自在にします。
自由気ままに振る舞うことが自在では無いのです。
さあ。自由にピアノをお弾きなさい。
そう言って鍵盤の前に座らされ、いざ鍵盤に触れた時、自由に好きにメロディを弾けるような人は殆どいないでしょう。
しかし小説を書くことは、ある意味自由です。
思いのままに、好き勝手が書けてしまいます。
文法や語彙が無茶苦茶でも、書けてしまいます。
下手をするとそれを見て、「ふむふむ中々上手いじゃないか…」と自画自賛まで始めてしまうかもしれません。
しかしそれは自在ではないのです。
厳しいことに、それは勝手気ままなのです。
自在とは、意図したことを、意図した通りに表現出来ることです。
言葉一つとっても、意図した通りに作用させることは非常に難しい…
皆様も経験がおありのことと思います。
このことを意識して、伝える鍛錬を積む、表現する鍛錬を積むことが、自在に小説を書く上で必要な数ある鍛錬の中の一つです。
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