第3話 目指す場所その2【解脱】

解脱をどう捉えるか、世の中には様々な解釈があります。


それがどのような言い方であれ、を捉えていればよいのですが、そうでもない気がします。


解脱していると言いながら、何も感じないをしてやり過ごしている。


これは解脱とは似て非なるものです。


そもそも、無我とか、悟りとか、解脱とは、無感情のことを指しているわけではありません。


解脱とは前回お話した自在の境地です。


命があることも、命がないことも自在。


ゆえにこの世から解脱しているのです。



悲しむことも、喜ぶことも、怒ることも、落ち着くことも、自在。


そこに表れてくるのは、この世界から解脱した人の姿です。


キリストは「私を信じるものは死んでも生きる」と言いました。


事実、十字架刑で死ぬことを知っていながらも、その道を往くという生き様は「死んでも生きる」を体現しています。


小説の世界もまた、死に向かって生を歩む道、あるいは生に向かって死の陰を歩む道。のように思います。


作品を取り巻く様々な外側からの評価があり、


同様に、様々な自分の内側から湧き出る自我があります。


そのどちらにも、プラスとマイナスが存在しています。


マイナスを拒絶しプラスだけを受け取る。

マイナスだけを気にして、プラスを軽んじる。


それは残念ながら解脱した人の姿勢ではありません。


マイナスもプラスも受け取ることが出来、拒絶することも出来る。


それが解脱した人の姿勢です。



人からの評価を気にしないで!


そうではないのです。


気にするべき意見を気にして、気にしないべき意見を気にしない。


他者や自己の評価から解脱して、健やかな小説ライフを送ることができますように。

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