第43話 謁見
迎えに来てくれた騎士に連れられて王城へと入る。
門の警備と造りの厳重さ、そして王城の
「小国とは言え、流石は王の住まう場所か」
見上げるような城。
窓から外を見下ろせば、とんでもない高さだ。
生前、日本の大きな城内から眺めた高さにも負けず劣らずだ。
「
「分かりました」
「……ふん。王族が暮らす王城へ
チクリと嫌味を言ってから、騎士は去って行った。
急な話な上、手持ちが数百ゼニーしかない俺に無茶を言うね~……。
騎士にも、爵位や軍部での階級が高い人は多い。
騎士爵を与えられた人物なら漏れなく、準男爵家の3男と言う――平民同然の俺より余程、爵位が高い。
多少、無礼な対応をされるのも仕方がないだろう。
待機を命じられた部屋には、ソファーとテーブル。
ちょっとした美術品以外は何もない。
お茶もない。
そうして数時間、俺はひたすら室内で待たされ続けた――。
「――ルーカス・フォン・フリーデン。陛下へと拝謁する順番が来た。共に参られよ」
「はい」
再び騎士に連れられ、王城を歩く。
暇を持て余して瞑想をしていれば、案外あっという間に過ぎた時間だったな。
そんな事を考えながら、歩いていると――。
「――テレジア殿に、エレナさん?」
「ルーカスさん?……やはり国王陛下は、戦で
「……正式な
そう言うエレナさんの表情は暗い。
元から表情は乏しく、声のトーンも平坦ではあるが……。
謁見は、気乗りしないのだろうか?
「全員揃いましたな。杖と剣はこちらでお預かり致します」
半ば強引に、俺を案内してくれた騎士が武器を取り上げた。
陛下に謁見するのであれば、武器類を取り上げるのは警備体制上、当然とも言える。
しかし、だ。
17人しかいない枢機卿の子であるテレジア殿や、独立した男爵であるエレナさんの前だと
まぁ、
「……お2人は、陛下へ拝謁された経験があるのですか?」
「は、はい。私は1度だけ」
「私も
「おお! それは心強い。俺はこの国で王陛下に
俺が何時ものように笑うと、テレジア殿は明るい笑みを浮かべた。
エレナさんは――何処となく
一体、どうした事だろう?
笑って欲しいんだが……。
「ルーカス・フォン・フリーデン。陛下へと拝謁する栄誉を
「これは失礼しました」
態度の悪い騎士に怒られてしまった。
緊張感と言われても、ね。
おっちゃんになると感情の
「それでは、扉を開きます。
案内をしてくれた騎士が指示を出すと、扉の前にいた別の騎士2人が扉を開いた。
俺たち3人だけで拝謁するのかと疑問も浮かぶが――
もう、進むしかない。
3人横並びで入室し、玉座へ向けて進んで行く。
横目に見れば多くの騎士が控え、貴族らしき人物も数多く参列している。
その中には――ノルドハイム枢機卿、そしてゲルティ侯爵やササ伯爵の姿もあった。
そうして玉座まであと20歩程度と言う所で、2人が動きを止めた。
俺だけ止まる場所を知らなかったんだ。
宮廷作法を知らぬ、お情け貴族の3男坊。
少し後ろ歩きで戻るのも、
はははっ!
3人揃って膝を付き、顔を伏せ――。
「――面をあげよ」
陛下の声に、伏せた顔を上げる。
間近で見ると――年齢は50歳には届かないぐらいだろうか?
何とも……片側の口角を上げ、気分が良さそうな表情だ。
これは――玉座の魔力に酔いしれているのか?
顔から生き様を探る。
実におっちゃんらしい人物の見方をしていると、陛下が口を開いた――。
―――――――――――
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