吸血鬼
俺は人に好かれやすい体質だった。だったというのは、今やもう見る影もない。成人してから、生活のだらしなさは人をダメにする。人に好かれやすいから期待をされる。そしてその期待を超えることは出来ない。その繰り返し。人は離れていった。やがて、俺は少しだけ整った顔と標準より少しだけ高い身長のみが残った。過去の思い出話だとか、哲学だとか好きな映画とかは聞かれる前に、人が離れていく。期待して寄ってくることに何の罪悪感もなく、裏切られた様子で人を裏切る人間達。
俺は、今一人の女性と住んでいる。なんてことはない。全てを失い、情けなく生きてる時に拾われた。・・・性格の良い女性かって?馬鹿な。見た目に釣られたブサイクな女だ。こいつは俺の性格すら関係なしに共に過ごしている。バカでマヌケでブスとは目を当てられないな。はは。
ひとり暗い部屋で、ひとり暗い言葉を羅列する。それがまるで使命のような、運命のような、仕事だとでも言うような。ムラついた夜にひとり処理するティッシュペーパーのように無駄を自覚してもまだ生きている。明確な目的もなく、夢もない。何かが終わっていないんだと繰り返す。まだ何か、まだ何か。もう、何も残ってないよ。血の一滴すら。
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