結婚式

 健司結婚!?うそだろ、あの健司が?あの名前とはかけ離れた下品なケンジが。

「まじ。もうすぐ結婚式もやるらしい。」

「ふーーん、それで、なんで俺に?」

「招待してくれだってさ。手紙とかは堅苦しくて嫌だから、直接お前が集めろって。」

「・・・あと、恵子か?」

「分かってるじゃん。ケイコと、ダイキ。あと、俺ね。」目を光らし、ガイはそう言った。

「三人に大人しく祝福でもされたいんか?」

「いや、それが・・・。」

「ケンジはなんて?」

「好きに暴れろって。」ダイキはそれを聞いて一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに解れた。

「・・・ケイコに電話する。結婚式までに会議するぞ。言われたからには、全力で壊す。」


結婚式当日。披露宴が始まって、もう15分が経過した。まだ三人は現れない。ケンジはまるで自分たちの結婚式でないかのように心ここにあらずだった。・・・丁寧な進行、お涙頂戴の家族・友人からの手紙。式が進むにつれケンジの顔は重力に負けていく。すると。


「ちょっと待った!!!」大扉が開く。・・・三人の姿。もちろん、普通の恰好で来ているはずがない。三人中二人が白ブリーフ一枚だった。ケイコはドジョウすくいの恰好でひょっとこのお面を顔に直でペイントタトゥーとして入れていた。会場は騒然としたが、じわじわと笑いが起こる。出オチか何かと勘違いしたのだろう、こいつらがそれで満足するはずがない。ケイコはクラウチングスタートの構えを取り、全力で駆け出した。そのまま俺(ケンジ)の元へ飛び込み、激しくキスをした。新婦と神父に見せつけるように滅茶苦茶にキスをした。この段階で、会場はドン引き。一気に静寂に包まれる。・・・同時に白ブリーフ組(ダイキとガイ)は何をしているかと言うと、式場の食事を大量のジップロックに詰め込んでいた。素手で直に放り込む。野蛮なんてもんじゃない、何か夢でも見ているような光景にケンジは唸った。

「おい!!お前ら!!」三人はビシッと停止する。ケイコはまだキスをしようとしたが、突き飛ばされて大きなウエディングケーキに突き刺さった。ケンジは震えている。さすがにやり過ぎたか・・・?と汗が白ブリーフを濡らす。ケンジが吠えた。

「俺も混ぜろ!!!!」

「・・・・・!!!」三人は嬉しくなって、少しだけ、ほんのちょっとだけ。ほんとにわずかだけ、オシッコを漏らした。気がつくと、式場には白ブリーフが一人増えていた。

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