会話
自分には病がある。それは別に大したものではない。発生条件は疲れによって引き起こるが、それは体ではなく精神的な疲れである。精神性の疲れは目に見えないので、突如として起こることがほとんどだ。症状の概要をお話ししよう。一言でいうと「会話加速症」とでもいうのかな。文字通り加速するのだ。しかし、実際は加速しているわけではない。会話の速度は一般的な速度であるのにもかかわらず、どんどん自分だけが遅れていく。遅れていくといっても自分の口から発せられる言葉が遅れることも無い。ただ、頭で考える言葉だけが一般的な会話速度と認識してそれ以外を早いと思ってしまう。自分を含めすべてが加速する。そんな症状だ。テレビで録画を見るときに、さっさと消化してしまおうと早送りで見ることがあるだろう?あの時の会話、音の速度が分かりやすいと思う。全ての音がそう感じるようになるんだ。実際はそんなことないのに。な?すごく地味で、大したことではないが病ではあるだろう?・・・え?実際どんな不便があったのかって?
それは・・・うん。例えば天気の話をしたとする。
A「今日は寒いね。」
B「5℃とかになるらしい。」
A「ひぇー、そら寒いわけだ。」
B「街もすっかりクリスマスでさ。」
A「うん。」
B「イルミネーションが街路樹にチラホラあって。」
A「・・・うん。」
B「もうすぐイベントもあるらしいが、ちっさなイベントだろうよ。」
A「だろうね。」
・・・ここまでで、Aが私だったとする。すると頭で認識しているのはクリスマスの段階で、話はイベントまで言っているという事だ。な?かなり不便だろう。
・・・・・え?別に支障はないじゃないかって?ま、この場合はそうかもしれないが、重要な会合とかがあったとしたらどうなる?明らかな無能をさらすことになる。そして、仕事ができない。だらしないと思われて、居場所がなくなって。いずれはひとりの友達もいなくなる。怖いだろう。寂しいだろう。それが嫌だからここで吐きだしているんだ。・・・ん?そんな風に考え込むからそういった症状が起こるって?
・・・確かに、そうだな。
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