第19話初めてのキスは蜜の味

詩ノ咲さんの独白を、ただ黙って聞く。俺と藍の表情は

悲しんでいた。俺たちは、ただひたすらに、詩ノ咲さんの

独白を聞く事しかできないでいた。「私の人生。ようやく

ここから始まる。そう思えたの。そう思わせてくれたのが

コスプレなの」詩ノ咲さんが、自分を変えってくれた。

コスプレの熱い思いが、伝わる。そんな、詩ノ咲さんの

長い独白を聞き。俺の横に立つ。藍が、小首を傾げ。

詩ノ咲さんに、あの質問をする。「ねぇ、ミナちゃんの

事は。よくわかったけど・・・・・・。その話と、正夜の

事が好きになった。理由は、何か関係があるの?」藍は

詩ノ咲さんに、俺も気になっていた。疑問をぶつけてくれた。

そうだ。引きこもりだった。詩ノ咲さんが、人生を謳歌できたのは。

コスプレのおかげって言うのはわかった。だけど、肝心の俺への

好意の理由にはならない。生唾を飲み込み。真っすぐな眼差しで

俺は、詩ノ咲さんの事を見つめる。一体、俺のどこが好きに

なったのか。詩ノ咲さんは、顔を少し下に俯き。すぐに

顔を前に向け。その小さな口がゆっくりと開く。

「別に、特に好きじゃないよ。京夜くんのことは」

「はぁ?・・・・・・」「どう言う意味?」頭の中で

疑問点が埋め尽くす。その理由は、俺らの思考じゃ

考えられないものだった。「私は、恋愛するほどの

人間ができていないから」「はぁ・・・・・・」

「でも、将来的に自分の子孫を残そうかなーって。

 思っているわけで・・・・・・」「なるほど」

「それをね。ずっーと。考えていたら、たまたま

 教室で、京夜くんが、寝てたから。丁度、いいかなー

 って思ってね」「えっ⁉たまたま。俺が、教室で

 寝てたから。俺にキスをしたの?」「はい。そうです。

 全ては、私の子孫を作る為の雄蜂に。たまたま

 選ばれただけです」その答えが、あまりにも意味が

 分から過ぎて。思考を停止してしまった。

「まぁ、人にはいろいろな考え方があるからね」

 藍は苦笑した。表情で、俺の方をみる。俺も

 うまく笑えず。泣いているのか。笑っているのか。

 わからない。顔で、詩ノ咲さんの方を見つめる。

 「だから、あの時言ったでしょ」あの時、それは

 翡翠色の瞳の謎の女性(その正体はカラコンをつけた。

 詩ノ咲さんだった)が、放った。あの正体のヒントの

 事だ。「私は、女王バチの使いのものだよ。女王バチの

 使い。これからの人生を楽しむ為に。子孫を作る為に

 私が、女王バチになる為に。数多くいる。雄蜂から

 君が選ばれただよ。京夜くん。使いのものが、たまたま

 教室で寝ている。君にキスをしてね」微かに頬を赤く

 染める。詩ノ咲さんに、俺と藍は何も言えなかぁつた。

 俺の初キスが、こんなに自分勝手な考えをした。クラスで

 一番。影が薄い子に奪われるなんて・・・・・・。それを

 もう一度。味わいたいと思っていた。俺の数か月は

 一体。何だったんだ・・・・・・「だから、京夜くん

 私と一緒に子供を作ろ♡」眼鏡をはずした。詩ノ咲さんの

 顔は、めちゃくちゃ可愛かった。まぁ、理由はどうあれ

 こんな可愛い子に初キスしてもらったんだ。ありがたいと

 思う事にしよう。それに、俺の事を好きって言っていた。

 子が二人いるのは事実だし。(横目で藍の顔をみる)

 こうして、俺の初キス相手を探す。物語は、何とも言えないほど

 幕引きをした。でも、これだけは変えようがない。事実だと

 思っている。俺の初キスの味は、蜜の味がした。

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このキスは蜜の味 優薔薇 @yo-81u

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