第18話詩ノ咲ミナの独白

そのキスは、ドロッとしてて。喉の奥にへばりつき程。

濃厚な甘みを持つ。蜜の味がした。学校に向かう道中。

俺は、幼馴染の藍に見られながら。詩ノ咲ミナとキスを

していた。「えっ⁉・・・・・・」藍は、今目の前で

何が起こっているのか。頭が、追いつかず。状態把握

できていなかった。「ごめん。いきなりして・・・・・・」

詩ノ咲さんの唇が離れ。詩ノ咲さんの頬が、ほのかに赤く

染まり。付けている。眼鏡のレンズが曇っていた。

「いや・・・・・・その・・・・・・えーとー」

 俺も上手く喋れず。この状況が、自分の中で

 重くなっていく。感じがしだしていった。

 すると、その重い空気を切るように。詩ノ咲さんが

 口を開いた。「私なの」「何がですか?」なぜか

 敬語で答える。「私が、女王バチの使いのものです」

 詩ノ咲さんの口から、女王バチの使いの言葉を聞き。

 俺は、無言で自分の首を縦に振った。「えっ⁉何の

 話?」その言葉の意味を知らない。藍が、双方の顔を

 見つめる。そんな藍には、申し訳ないが。

 俺は、詩ノ咲さんの小鳥の鳴き声のような声量で

 語られる。真相を聞く事にした。「私、昔から

 自分に自信がなくて」「うん」「元の性格が

 相まって。中々、友達もできなくて・・・・・・

 自分の巣(部屋)の中に閉じこもっていたの」

 「ミナちゃん・・・・・・」藍が、詩ノ咲さんの

 顔を不安そうに見つめる。「私は、巣の中で閉じこもって

 いる時に。深夜アニメを見るのにハマって。大好きな

 作品ができて。推しのキャラクターができて。自分も

 その子になりたくて。それで、自分で推しキャラの

 衣装を作って。出来上がった。衣装を自分で着て

 それを、どうせ誰も見ないだろう~って思い。

  SNSに写真を上げって。そしたら、いいねが付いてね。

 ネット上で、友達ができたの。そこから、自分の世界が

 大きく広がったの。コスプレにどんどんハマって、リアル

 イベントにも参加して。ネット上で、知り合った。

 コスプレ仲間とリアルで会っても、嘘みたいにどんどん

 話が進んで・・・・・・本当に、楽しい毎日になって。

 これで、真っ当な日常を送れるようになたの」詩ノ咲さんは

 自身の事を饒舌に話してくれた。俺と、藍は詩ノ咲さんの

 話をただ黙って聞いていた。すると、藍が何かに疑問を

 抱いて。ずっと、閉じていた。口を開いた。「ミナちゃんの

 事は、よくわかったけど。それと、正夜の事が好きになった事の

 理由にはならないのね?」そうだ。今の話は、あくまで

 詩ノ咲さんの事の話で。肝心の詩ノ咲さんが、俺の事を

 好きになった。理由がわからない。藍が、詩ノ咲さんに

 俺の好きになった。理由を聞くと、詩ノ咲さんのレンズが

 曇った。眼鏡を少し、手で上げ。再び、話を始める。

 「じゃあ、ここから本題に入るね。私が、京谷くんの

  事を好きになった。理由と、私が女王バチの理由も

  一緒に教えてあげる」この時の詩ノ咲さんの表情は

  どことなくだけど。闇を感じてしまっている。

  俺がいた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る