第10話これが修羅場なのか
俺は、路上で、後輩の女の子とキスをした。その光景を
幼馴染の富田藍に見られてしまった。「あぁ・・・・・・
いや、藍・・・・・・」餅が、喉に突っかかるみたいな。
何も発しているのか。わからない声で話す俺である。
「ふ~ん~正夜って、年下の子が好きなんだー」棘のある
言葉を使う。藍の目がみれなかった。「いや、別にそういう
わけじゃなくて・・・・・・これには、いろいろな事情が」
俺は、古くから、使われる。恋人への言い訳の言葉を
使う。だが、俺は、思った。(いや、待てよ。俺は
別にやましい事はしていない。むしろ、いきなり
キスをされて。困っているぐらいだ)心の中で、自分なり
現状を整理する。それを見つめる。梨亜が、拳を握りしめ。
深く深呼吸をして。藍の方に、顔を向けて。口を開く。
「あの、富田先輩って。京谷先輩の事が好きなんですか?」
梨亜の唐突の問いに、一瞬。この場の時間が停止した。
これはまずい。なにが、まずいって。昨晩の事があるからだ。
それは、俺は初キスの相手を探していると。藍が、話かけられ。
そのまま、藍に不意にキスをされ。初キスの相手とは
全く違う。味のキスだった事にがっかりして。藍が
「私、見たよ。正夜の初キスの相手」と、言われ。
「誰なんだ?」俺が聞くと「教えてほしかったら。私の言う事を
一つ聞いてくれない」そう、言う。藍は、唐突に「今晩、私と
一緒に寝てくれない」って、頼んできて。その晩、俺は
藍の気持ちを知ってしまって。「私ね。正夜の事が好きなの」
藍に告白をされて。俺は、藍の告白にたいし「ごめん。俺、どうしても
初キスの相手を知りたいんだ」藍の告白を断り。俺は、その晩。
藍の部屋を黙って、出ていった。それからの間。俺は、藍とは
昔みたいに。うまく話せなくなった。気まずさが勝っているからだ。
そんな事があって、その問いはきつすぎる。藍は、どんな風に
答えるのか。生唾を飲み込み。藍の方に顔を向ける。すると
藍は、顔を下に向けて。何かを決断する。戦士のような鋭さを
持つ。眼光を輝かす。「好きだよ。正夜の事」「そう・・・・・・なんですか」
「そうなの?」戸惑いを隠せない。梨亜に、俺も一緒に驚く。あの晩
俺は、たしかに、藍の告白を断ったはず。まさか、それを知られないように。
俺の事が好きって。言ったのか?固まる。俺に向かって、藍が近づき。
そのまま、俺の耳元で、優しく囁く。「私、諦めてないから。必ず
正夜を好きになってもらうから。私の蜜の味を」藍の囁きが、妖艶さに
感じるほど。俺の耳に心地よく残る。思わず、頬が赤く染まる。
それを見た。梨亜は、俺の方に、近づき。藍の顔を見つめ。
こんな言葉を発する。「私も、京谷先輩の事が好きです。富田先輩には
譲りません」なぜか、宣戦布告をする。梨亜の真剣な眼差しが可愛いかった。
宣戦布告をされた。藍は「私も、譲らないから」とこちらも戦う気満々だった。
そこに一人取り残された。俺は思った。(これって、もしかして。修羅場って
奴なのか・・・・・・)心の中で、そんな事を思い。二人の女子から好意を
持たれる。これは、俗に言う。二人の女性が、一人の男性を取り合う。
仁義なき。誰も負けられない。戦いが始まろうとしているのか?そんな事を
思う。俺は、大き目な溜息を吐き。その場で、言葉をポツとこぼす。
「二人共。そろそろ帰ろうか」夕陽が沈み。月の顔が、見え始めていた。
まさか、自分が修羅場の火種になるとは。続く
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