第8話後輩との甘い蜜

頭の中で、ぐちゃぐちゃな感情が湧いてきた。同じ、高校に通っていて、

同じ、演劇部の後輩でもある。西川梨亜と、道端で、キスをしていた。

あまりにも、突然すぎる。この展開に、俺の脳が爆発寸前だった。

そのキスの時間は、自分の体感で、30分程に覚える程。濃厚な

時間に感じた。実際は、数分の出来事ではあるけど。俺と、梨亜の

口が離れ。梨亜の顔が紅潮に、赤く、染まっていた。

「あ・・・・・・の・・・・・・京夜先輩・・・・・・今のは・・・・・・」

恥ずかしそうに、俺の方に向いて。必死に、言葉を選んで話そうとしている。

梨亜に、俺は、自分の唇に、手に触れさせ。梨亜とのキスの味を思い出す。

梨亜のキスは、早熟な甘みが残り。決して、濃厚な甘みではないけど。

でも、とても優しくて、フレッシュな味わいがする。そんな、蜜の味がした。

俺は、その蜜の味を噛みしめながら。ふと、思う。(違う。あの時の蜜の

味ではない)あの時、俺が、教室で寝っている所に、俺の席に近づき。

俺の口にキスをしてくれた。その時のあの、蜜の味を。俺は、もう一度。

味わいたい。そして・・・・・・。ダメだ。

今は、そんな事を考えている場合ではない。俺は、肺から。大きく深呼吸を

して。後輩の梨亜の方に、顔を向ける。その第一声をだそうとした。

その時、俺の背後から。聞き覚えのある。声が、聞こえた。

「正夜・・・・・・何、してるの?・・・・・・」その声を聴いた。瞬間

俺の背筋が凍った。「富田先輩・・・・・・」梨亜が、声の主の名前を呼ぶ。

俺は、ゆっくりと、後ろを向くと・・・・・・。そこにいたのは、幼馴染の

富田藍だった。あの晩に、俺が藍の告白を断って。そのまま、藍の家を飛び出して

から。一回も、藍とは会話をしていない。そんな、藍が、俺と梨亜のいる所を

目撃してしまった。俺は、生唾を飲み込み。藍に、聞いてみた。「いつから、

そこにいた?」俺の体内の温度がだんだんと低くなり。「正夜と梨亜ちゃんが

キスをしてる所に。偶然、通りかかって・・・・・・」あぁ、終わったー

俺の周りに雪が降っているんじゃないか。そんな幻覚をみているように感じる。

俺は、そんな幻覚の雪が降る。晴天な青空を見つめながら。ぽつりと呟く。

「こんなに、雪がふれば。蜜蜂は蜜を作れないなぁー」呟く。俺の中での

時が止まり。俺を間に、幼馴染の藍と後輩の梨亜が、互いを見つめ合う。

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