1-6 スペース・セキュリティ・カンパニー
突然視界が光に覆われ、俺は
光が薄れゆっくりと目を開けると、そこはどこかの室内のようだった。
結構広い部屋だな。どのくらいだろう。五十
白系統の色でまとまっていて、かなりすっきりとした部屋だ。
手前側には白い机と、その周りにソファのような横長の椅子が並べられていた。
奥は一段高くなっていてモニターがずらりと並び、その前の椅子には後ろで髪を一本に
よく分からないが、とりあえず挨拶をした方が良いのかなと思い一歩踏み出そうとした瞬間。突然少女の顔が目の前に現れた。
「ようこそSSC、『ホーリークレイドル』へ!」
「うわっ!?」
座っている女性に気を取られていた俺は
「あっ、驚かせちゃったわね。大丈夫?」
少女が微笑みながら手を差し伸べてくる。
俺はその手を掴んで引っ張り起こしてもらった。
「……ありがとう。えっと……SSC? ここはどこなんだ?」
雷人が困ったような表情をすると少女は不思議そうな顔をする。
「ここは私の使ってる控え室よ。SSCのホーリークレイドルって聞いた事無い? やっぱりまだ知名度高くないのかしら」
「宇宙は広いですからね。まだまだ知名度は足りないと思いますよ」
気付くとさっき椅子に座っていた女性がこちらに歩いて来ていた。
この人はコスプレのような服装の少女と違って制服らしい服を着ている。
見た感じ二十代前半くらいだろうか? 少なくとも俺やこの少女よりは年上だろう。
「あ、ただいまシンシア。この人が惑星フロラシオン内で能力を使っちゃったのよ。厳重注意で済ませたいんだけど、良いかしら?」
「おかえりなさい、フィア。状況は把握してますよ。
シンシアと呼ばれた女性は笑顔で出迎えたかと思うと頬を膨らませ、怒ってるような、怒ってないような微妙な態度でフィアと呼ばれた少女の背中を押していく。
「ちょ、ちょっと、押さないでって。このくらい気にしないで良いってば」
「駄目ったら駄目なんです。ほら早く行って下さい!」
「ちょっ、皆そう言うんだから。もー分かった、分かったから。悪いけどすぐに戻って来るから、ちょっと失礼するわー」
少女は喋りながら扉の向こうへと押し出されて行った。
そして、シンシアさんはすぐに戻って来ると椅子を一つ持ってきて俺に座るように
手錠地味に痛かったし邪魔だったから嬉しいけど、わざわざ掛けたのに外していいのか?
「お騒がせしました。私はシンシアって言います。こんな所まで来て頂いてすみません。フィアを助けて頂いてありがとうございました」
シンシアさんは頭を下げてお礼を言ってくる。
その動作はとても綺麗で、さっきまでの光景が嘘のようである。
今の状況はさっぱり分からないが、彼女が助けてくれなければ危なかったのは事実だ。
もう手錠も外してくれたし、こう丁寧に対応されると文句を言うのは気が引けるな。
「いや、頭を上げて下さい。むしろ助けてもらったのは俺の方なので、ありがとうございます」
今度は俺が頭を下げる。
すると彼女は慌てたように言った。
「あっ頭を上げて下さい。こちらは仕事なので、助けるのは当たり前の事ですから」
「仕事……そういえば結局SSCって何なんですか?」
「あ、SSC自体ご存じなかったですか?
「宇宙の、治安維持ですか?」
「はい。と言っても、業務は治安維持ばかりではなくて、便利屋みたいな仕事をする事も多いんですけどね。一応一般からの仕事も受けてはいるんですけど、基本的には
要するに、
「今回の仕事って、もしかしてあのロボットですか?」
俺が聞き返すとシンシアさんは困ったような表情になる。
「えっと、すみません。詳しい事はお話し出来ないんです。こういった情報は機密事項にあたるので、部外者にはむやみに話せないんですよ」
「あっ、そうですよね。すみません。えっと……じゃあ
宇宙警察というのだから何となく分かるが、ちょっと気になる事があるので聞いておこう。
そう思って聞くとシンシアさんはキョトンという感じの表情になった。
やっぱり常識レベルの事なのだろうか?
「え、知らないんですか?
この回答は予想通りではあるが、これで少なくともさっきの少女とこの人で二人が同様の話をしたことになる。
俺を
とはいえ、この人達がとんでもない中二病集団の可能性は捨てきれないしな。
やっぱりこれは確認しておかなければならないだろう。
「すみません。初歩的な質問なんですけど、してもいいですか?」
「いいですよ。何ですか?」
「宇宙人って存在するんですか?」
その質問は、まさに一連の疑問の核心を突いていた。
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