第2話

駅から十分、十五分ぐらい歩くと、

老夫婦が経営していそうな、何処か古く、懐かしい、そんなかんじの店が目に入った。 あまり繁盛している様子ではなかったが、初見で偏見を持つのは善くない。と、思い晴海に ここ?、と尋ねてみた。晴海はネットの地図とパフェの写真を、店の看板と照らし合わせ、そう!此処、此処! と嬉しそうに言う。

あんまり表立って有名ではないらしいけど、パフェに花が活けてあるんだって。ほぉ、花ねぇ。花?直接パフェになんて斬新だな。感動を心に仕舞い、ドアを引いた。

ー チリーン。ー


笑い声が聞こえる。笑い声。

人が裏で話してるのか? ひどく怖く思うと、あら、お客さんいらしたんじゃない?という若々しい声が聞こえる。

厨房とレジのカーテンから、派手なピンクエプロンが目を刺す。あら〜!、こんにちは。店主であろう夫人が不思議そうに見つめる。

いらっしゃい、ねぇ、此処、何で知

ったの?

挨拶を飛び越えて急かすようにに聞く。

あ、彼女が見つけてくれたんです。

と 夫人に申すと、

へぇ、貴女がねぇ

不思議そうにつぶやく。

そうだ。彼女アイドルだから、ここらでは珍しいんだ。

貴女綺麗ねぇ。べっぴんさんね。

にこやかに店主が言う。

そんな、ありがとうございます。

言われ慣れてるだろうに、照れたフリをする晴海が少し歯がゆい。

あ、何、何食べるの?

パフェを2つお願いします。

晴海が注文する。

はーい。

にしても、随分な世界観だな、と思った。所謂大正浪漫とでも言うのだろうか、レトロというのだろうか。

時計も木製で可愛らしい。

その下の戸棚には絵本や、ケーキの本が置いてある。けど其処にいる女は、レトロや浪漫は似合わない、

シックな洋風の女が一際目立っていた。

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