連休明け
ep28 黒木
一話一話の分量が多い……
よくわかんないけど、縦書き寿司詰めで書かれたヤツを無理矢理千五百文字前後で分割したけどなんか物足りないから、改行追加と余計な部分を削って、今度はそれを四話くらいずつでまとめたらしい。
四千文字、最低でも三千五百文字超えないと不安になるって……
坐禅ちゃんの過去話は、この辺りで一区切り。
ブルーライトで目疲れたし、幾つかちゃんと考えたいこともあるし、また今度……夏休みにでも読みに来よう。
連休明け。
連休ボケなのか、みんなぼやぁーっとした顔で彫刻刀を握る美術の授業。
プラスチックっぽい板にレリーフを彫るって課題。
板が柔らかいかくて、木みたいに木目がないから、簡単にシャコシャコ気持ちよく彫れて楽しい。
でも、もぐさ……流石に彫りすぎじゃない?
板の三分の二くらいまで掘ってる……
もぐさはこういう無心で作業するのが好きだからね……
「お前さん、ぞら彫りすぎだべ」
教室を見て回る
特定の人に対して言うと、それ以外の人は「自分は関係ない」って思って気にしないから、誰に対して言ってるのか分からないように言って、全体に伝える……って思惑があるんだと思う。たぶん。
「お前さん、ちゃんと握んねど危ね……」
時すでに遅し。
豆府漆子の手から切り出し刀が滑り落ち、右足へ向かって落下。
「っ!」
むぎむぎはそのヨコに大きい身体からは想像できない速さで、右足を漆子の右足の上に被せ、
「豆府さんっ!」
それとほぼ同時、雪花菜高野介は高そうなボールペンを投擲。
切り出し刀に命中し、机の脚に切り出し刀とボールペンが刺さる。
……え?
雪花菜は席を立ち、机の脚に刺さったボールペンを回収。
「豆府さん、大丈夫ですか?」
「うん。さすがこーちゃん、ありがと」
まぐれ……じゃなさそう。あんな小さい動く的に命中させるって、凄い精度……
「もぐさ、できる?」
「当てるくらいはできるけど、あんな綺麗に刺さらせるのは無理。母さんはできると思うけど」
むぎむぎもむぎむぎで、一切の躊躇なく自分の足で受けようとしてた。
サングラス掛けたらシチリアマフィアにしか見えなくなるようなガタイの良さと強面でも、割と怖がられないのは、そういう性格ゆえなんだろうなぁ。
無自覚に弱い威圧を放ち続けてる
一年生は
その時、あのチビは猛反対したらしい。それで先生方みんな委縮しちゃった。
黄木ちゃんが頑張って、キャンプやらない方向に何とか持ってったけど。
委縮……うん、周囲を委縮させる奴は大っ嫌い。つまらなくなる。
シャコ、シャコ……トントン……
多少の会話はあるけど、板を彫る音と、彫った屑を板から机へ落す音が教室に響く。
のんびり、時間が流れてる。
キャンプ……あと中間テストも廃止したことで、授業時間にかなり余裕ができたらしい。
六月中旬の期末まで、これといって大きい行事はないし。
行事はあったらあったで、普段見れない一面が見れて楽しいだろうけど、多すぎるのはどうかと思う。
あっきーが中学生の時なんか、中間テストの一週間後に合唱祭、その三週間後に体育祭、その二週間後に期末テストなんて過密スケジュールだったらしい。
当然、体育祭の練習時間なんか大して取れないで、応援合戦とかダンスとか散々だったって。
少ない方が一つ一つの行事に集中できるし、授業内容も深くなるから、私はその方が好きかなぁ。
「……よし。大体こんな感じかな」
あとは着彩だけ。
けど、あと五分くらいで授業終わるから、流石に今からアクリル絵の具出すのはきつい。
……もう少し仕上げるか。どの辺りが彫り足りないか、もぐさに意見訊こう。
「……お前、それ……?」
「天狗だけど?」
「お前が彫ると意味深なんだけど……」
バレたか。確かにそういう意図がない訳じゃない。
「鼻をよりリアルにしようと思うんだけど……」
「ナニを以てリアル!?」
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