特化傾向.txt

 特化傾向とは「才能の偏り」である。


 特化する力は既に成長しきっているために伸びしろが少なく、向いてない事柄は極端にできない。


 それが先天的なものであるか後天的なものであるかは不明だが、本人の意思は介在せず、一度決定されると変更は基本的にできない。

 また、明確な基準はない。


 桑織の住民は基本的に全員特化傾向があるとされる。移住者についてはそもそもの母数が少ない事、桑織に移住する酔狂な人間は何かしらの特化傾向である事から、良く分かっていない。



>呪術特化型


外界での呼称:呪術師

特徴:呪術を使っても代償が少ない。

特化:感情を昂らせる力。感情を制御する力。

身体能力:仙術による身体強化を行わなければ、身体能力は一般人以下。

 呪術の扱いに長けているわけではないが、代償が少ないため、また呪術の主なエネルギー源となる感情を昂らせ、制御する力が高いため、結果的に呪術の扱いに長ける。

 代償が少ないとはいえ、仙術の反動はそれなりに受ける。また、呪術を使い続けていると感情を喪失することも稀ではない。



>分析特化型


外界での呼称:策士

特徴:頭の回転が異常に速い。

特化:状況把握力。発想力。指揮力。運。

身体能力:呪術特化型と同程度、あるいは仙術の技量や慣れが少ない分それ以下。

 とにかく考えることに特化している。また、それを実行するための指揮力や運も高い。

 頭脳労働においては分析特化型の独壇場となれるが、肉体労働は全く不向き。また、人の上に立ってこそ真価を発揮する。



>奇術特化型


外界での呼称:トリックスター

特徴:あらゆる手段を布石として人心を操る。

特化:人心掌握力。コミュニケーション能力。

身体能力:普通。

 会話や行動、更にはその時の天気や偶発的な事象、事前に仕込んでおいた仕掛けなどを通して他人を信用させ、欺き、自らの利となるように誘導する。

 対人関係において、奇術特化型より秀でるものはない。



>表現特化型


外界での呼称:アーティスト

特徴:表現活動を通して他者に強い影響を与える。

特化:表現力。作品制作力。

身体能力:普通。

 絵画、文学、彫刻、歌唱、演奏、その行動など何らかの思いが籠った表現が、呪術として影響を与える。呪術特化型や奇術特化型との最も大きい差異は、無自覚的である事。当人にとって意図しない形になることも多い。

 共鳴精神汚染は、表現特化型の影響を受けて精神に害をなし、それが集団で伝播し増幅する事象。

 ある意味最強。



>暴力特化型


外界での呼称:戦闘狂

特徴:強い。

特化:戦闘力。攻撃力。

身体能力:他と比べる必要がないくらいに高い。

 修行・殺戮・戦闘。この三つは三大欲求と同じかそれ以上に強い。特に戦闘への渇望が強さの源であり、その決して満ち足りることのない欲を満たすため、ただひたすらに戦闘を求める。

 戦闘の記憶が残らないタイプは、故により戦闘への渇望が高まる。記憶はなくとも経験は体に染みついているため、強さに差異はない。

 強すぎるために、歯応えのある戦闘をできる相手がいなくなるため、多くの場合セーブ鉄を使用して縛りプレイをする。


【重要】正当な理由付けなく殺戮を繰り返す暴力特化型は速やかに処理すること。本能的なものであるため更生や矯正や共生を考える必要はない。

【暴力特化型の皆様へ】紛争地帯への遠征を希望の方は、桑織神社のコネと呪術を駆使して実現しますのでお気軽にお問い合わせください。なお、帰還の保証はできません。



>生産特化型


外界での呼称:クリエイター

特徴:最強の武器を作る。武器の性能を完全に引き出す。

特化:技術力。

身体能力:武器がなければただの人。

 「装備者が弱くなるので装備していない人が繰り上がって最強になる」ため、セーブ鉄の製造・加工も生産特化型のみが行える。

 「武器」の定義は非常に広く、兵器、人、情報、果ては世界まで、どんなものでも武器扱いである。

 生産職でありながら、武器の性能を完全に引き出すことで暴力特化型にも匹敵する。しかし、生産特化型がセーブ鉄の武器を使おうとすると、『セーブ鉄道運転見合わせ』が発生し殆どの行動が取れなくなる。このことを利用して、暴力特化型とは違う意味の縛りプレイを楽しむ輩もいるとかいないとか。しかしながら、自分の装備として認識していなければ『セーブ鉄道運転見合わせ』は起こらないため、セーブ鉄の拘束具は一切意味がない。

 本気で武器を作る場合、一切の妥協を許さない。自らの作る武器に他者の痕跡があることは大きな違和感であり、分業を徹底的に嫌う。



>成長特化型


外界での呼称:天才

特徴:何でもできる器用貧乏。

特化:成長力。

身体能力:一般人より高くなることもできる。

 成長する力だけに特化し、どんなことでも極める事が出来る。

 しかし、そもそも成長しきるための時間がなく、自分の方向性を決める前に、余計な分野の能力もそれなりに育って、成長しきるためのリソースがなくなる。そのため他の特化傾向に追い付くことはほぼ不可能。

 特化傾向がないよりはいいし、何でもできるけど、他より劣る。そんな残念な特化傾向であると思われていた。森山針葉が現れるまでは。



>桑織特殊型


特徴:糸に関われば何でもできる。

身体能力:不明。

 桑織でしか確認されていない特殊型。生産特化型の上位互換のような扱いをされることがある。

 服に限っては生産特化型より強いものが作れ、防御力は革鎧を凌駕、更に高い身体能力補正が得られることもある。また、弓や鞭を使用した場合、戦闘においても生産特化型を凌駕する。

 呪術で糸の要素を使えば出力が激増する。



>耐久特殊型


特徴:執念で存在し続ける。

身体能力:耐久力は高いが攻撃力は低い。

 クマムシやゴキブリのようなしぶとさを持ち、自然治癒力が異常に高い。

 死んでも必ず亡霊となり、存在し続ける。

 その力の原動力は何らかの執念。多くの場合、復讐したい相手や護りたい人がいる。前者の場合は復讐を達成した後は抜け殻のようになり、後者の場合その存在意義を他人に依存し、その関係が納得できない形で破壊されると、どんな行動をとってもおかしくはない。



>破壊特殊型


特徴:絶望と不幸と破滅の象徴。常時仙術による身体強化。精神が徐々に崩壊する。

身体能力:不明。

 常時身体の負担を度外視した仙術の身体強化によって暴力特化型を凌駕する。

 身体強化の反動で体が悲鳴を上げていようとも、解除できない身体強化で無理矢理動かす。

 精神が劣化による消滅ではなく、非常に強い苦痛を伴う崩壊を続ける。肉体が死んでも、精神が完全に壊れるまで亡霊として苦しみ続ける。

 些細なことでキレる。些細なことをストレスに感じる。対人関係によるものは、相手によってストレスの感じ方は大きく変化する。

 ストレスは精神の崩壊を加速させる。苦痛は精神の崩壊量によって決まるため、一定時間当たりの苦痛は、崩壊速度が速いほど大きい。崩壊が進むほど苦痛も増大する。

 苦痛と運命を呪う気持ちは呪術の出力を強化する。

 何かを創りだすことはできない。壊すことしか出来ない。

 人を殺せば苦痛は多少和らぐ。


【重要】発見次第速やかに、霊体まで確実に処理すること。桑織の為にも、当人の為にもそれが最善である。一応、文民と軍人を区別できる暴力特化型と、末期の苦痛を少しでも和らげるために目に付くものすべてを壊す破壊特殊型は全くの別物である。



【重要】破壊特殊型に限らず、特殊型と一部の暴力特化型については、監視を怠らないこと。有事においては実力行使を躊躇する必要はない。

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