【オフコラボ】FMK1期生で料理対決!【ナキ/幽名/小槌/☆】#2
今回の料理対決の審査員は、ご覧の通り密林配信のVにゲストとして来てもらっている。
外部から人を呼ばなければ審査員が琴里だけになってしまうからな。bdは料理食えないし。
で、密林のVを呼ぶにあたり、琴里に交渉をお願いしていたのだが、その琴里が呼んだ面子の中に全然知らんヤツが混じっていた。まあそういうこともあるだろうけど。
「誰こいつ」
おいコラ、小槌。
他のFMK勢全員が思ってても口に出さなかったことを言うな。
「射手咲アルテミス――さ」
射手咲なんたらは、銀髪(多分ウィッグ)をファサぁ……と無駄に広げながら再度自己紹介。今の所名前以外の情報が一切入ってこないが、何となくアホっぽいなコイツ。
小槌並みのプロポーションの良さに、ちょっと宝塚感のある整った目鼻。しかし一挙手一投足から滲み出る道化師っぽさがそれら全部を帳消しにしている。小槌とは別の意味で残念美人っぽい。
Vのアバターの方も銀髪なのだが、わざわざウィッグで同じ髪に合わせているところもちょっとアレだ。あくまでも俺の初見での感想だが。
「えっと……射手咲さんは、今回急用で来れなくなった兎斗乃依ちゃんの代わりに来てくれました」
「ピンチヒッターということ――だね」
琴里の補足に射手咲が頷く。
配信開始前に琴里から「今日は兎斗乃依ちゃんが来てくれます!」と聞かされていたのだが、実際やって来たのが射手咲だったので琴里もちょっと残念そうだったのは秘密だ。
「射手咲って、8月の密カスの時に
「そうだっけ? 全然覚えてないけど」
そういや名前だけは何となく聞き覚えがあったが、確かに密カスで何度か名前が上がっていたかもしれない。ってか小槌は初対面の相手に失礼発言かまし過ぎだ。そういうとこだぞ。
ちなみにそんな補足情報があってもFMKの面々はイマイチピンと来ていない様子で「はぁ……」とか「ふーん」とか微妙な相槌を打っている。こいつら失礼集団かよ……失礼集団だったな。
だが射手咲何某は特に気にした風でもなく、余裕ある笑みを浮かべて髪をファサっとさせた。
「これでも普段はFPSばかりやっている――のさ」
「ナンデ、いちいち――って溜めて喋るンデスか?」
そういうことは聞いたらダメだぞ、☆ちゃん。
「だけど密カスの時は、小槌君と幽名君の方が遥かに目立っていた――ね」
「ですわね」
ですわね、じゃないが。
「この射手咲アルテミスより目立つとは何事なんだい――君たちは」
「そんにゃ理不尽にゃ言いがかりを付けられても」
「いや、君には言ってない――よ? 君は大して目立ってなかった――からね?」
ピシッ、と。
空気がヒビ割れる音が聞こえた。
ナキは笑顔のまま一瞬固まり、その他のFMK関係者達も石化攻撃を受けたみたいに動けなくなる。
この女……今FMKが一番触れて欲しくない部分に触れてきやがって……。
しかも本人は全然悪気なさそうなのが最悪だ。
ナチュラルボーン失礼かよ。
そして密林の失礼はこれに留まらなかった。
「だはは!! オメェ、アルテミス言い過ぎだろそりゃ! 確かにこのネコ被りは全然目立ってなかったけどよ! っつかその話題ってよぉ、今FMKの中じゃデリケートな感じになってんじゃなかったっけ? だはははは!!」
御影星が豪快に笑いながらそんなことを言う。
ガサツで言いたいこと全部言うヤツだとは思ってたが、ここまでだったか御影星。
というか御影星の口振りから察するに、FMKがナキの件でナイーブになってるのは把握済みか。その上でその発言とは恐れ入るよ、まったく。
ここで一応付け加えておくが、やはりこの配信のチャットにもナキアンチが湧いていた。
■
「当時のチャット欄を描写するのイヤなので、配信を見てただろう鞍楽とキャロルに、あの時のチャットの様子を一言で言い表してもらおうか」
「普通に大荒れっす」
「このコメントは削除されました……みたいのが大量に流れててカオスだったわね」
■
射手咲と御影星のダブル失礼コンボに呼応するかのように、一時的にチャット欄のナキアンチが増加した。bdが瞬時にコメントを全削除してくれているが、削除されたというメッセージは残るので、チャットが荒れているという事実だけは誤魔化しきれない。
「2人共、今のはない」
そんな流れを断ち切ったのは北巳神だった。
射手咲と御影星の間にちょこんと座っていた北巳神は、目にも留まらぬ早さで両側の2人の頬を強く引っ張っていた。
「いだだだだだ! 何しやがる北巳神てめえ!」
「痛い――ほっぺが取れるよ
それなりに強い力で頬を抓っているらしく、密林失礼コンビはちょっと涙目になっている。
「謝っといたほうが賢明」
「わーったよ! あたしが悪かった!」
「悪気はなかったんだ――ごめんなさい」
「それでいい」
2人の謝罪を聞いて、北巳神がぱっと手を離す。
射手咲と御影星の片頬は真っ赤になってた。
「私からも謝罪。気にせず配信を進めて欲しい、時間を無駄にした」
そして北巳神自身も頭を下げて、配信の邪魔をしたことを詫びて来た。
「私は全然気にしてにゃいから、 案内灯も謝らにゃくていいよ。それじゃ審査員の紹介も終わったし、ルール説明の続きに戻るよ」
ナキは本当に気にしていないという風に、また満面の笑顔で配信の流れを元に戻す。
この場は北巳神に救われたな。
そうじゃなければ幽名がぶちかましていた所だろう。
幽名の背中を押したのは俺だが、流石に配信中に他箱のVにぶちかますのはマズイから焦った。先に喧嘩を売って来たのは御影星たちの方だが。
にしても、あの北巳神が一体どういう風の吹き回しなんだか。
そう思って北巳神をよくよく観察してみると、チラチラと☆ちゃんの方に目線を送って落ち着かない様子をしていた。
ああ、なるほど。
☆ちゃんの実力を知ってる北巳神からすれば、FMKを怒らせるような真似をしたらただじゃ済まないって思ってるのか。
別に何を言われたところで報復活動なんかしたりしないけどな。
そう思ったが、☆ちゃんが笑顔で殺気を放っていることに気付き、俺は別の意味で冷や汗を流すのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます