VTuber事務所《FMK》 ~宝くじで10億当たったからVTuber事務所作ったらやべえ奴らが集まってきた~
【ドゥームズガールΘリィンカーネイション】大人気ブラウザゲームを紹介するわよ【小槌/姫依/☆】#1
【ドゥームズガールΘリィンカーネイション】大人気ブラウザゲームを紹介するわよ【小槌/姫依/☆】#1
「――とまあ、案件配信開始前の3人の様子はこんな感じだったな。特に問題なく、和気藹々とした雰囲気で、これなら本番も問題ないだろうと俺は思ってた」
「今の回想いるっすか?」
「すまん、あんまいらんかったかもしれん」
情報は多い方が良いと思って、その日印象に残った出来事を全部話そうとしてしまったが、鞍楽の言う通り本番前の打ち合わせの場面は端折っても良かったか。
「要るわ」
だがキャロルは逆の意見だったらしい。
やはり大統領の娘ともなると、今の回想からでも何か重大な情報を汲み取れるのかもしれない。
「そうっすか~? 自分的にはさっさと次に本題に入るべきだと思うっすけど」
「シャラップ。貴女……クララだったかしら? クララは今の回想の重要性をまるで理解していないようね」
「はぁ」
「やれやれ、私と同じ最終選考まで残った者と聞いて、私を脅かす存在足り得るのかと警戒していたけれど、どうやら貴女はその程度ということらしいわね。いや、それどころかFMKに貴女のようなレベルの低い人間は、FMKに相応しくないと言っても過言じゃないわ」
「何言ってるかよく分かんないっす!」
「おつむに難有り、と。Mr.代表、クララは2期生オーディション失格ということで頼むわ」
「なんでキャロルが審査員面してんのか知らんけど、それ決めるのはお前じゃないからな」
「ともかく、今のような回想がまだあるならもっと頂戴」
「思い出す必要がなさそうな回想は極力省こうかと思ったんだが」
「良くないわ、そういうの。ライバー達の日常からしか得られない栄養素もあるのよ」
「俺もコイツが何言ってるか分かんねえや」
まあ、キャロルが必要だと言うのなら思い出せる範囲で今みたいな回想は入れていくのも良いが……。
俺なんかよりコイツの方がよっぽど頭が回るだろうし、気付けることもあるだろうからな。
一先ずキャロルの要望には頷いておくとして、いよいよ案件配信本番の回想へと移る。
「回想を続けるぞ。本番前のミーティングを終えた後は、特に問題もなく19時の配信を迎えたワケだったんだが――」
■
【ドゥームズガールΘリィンカーネイション】大人気ブラウザゲームを紹介するわよ【小槌/姫依/☆】
「よーし、始めるわよ。2人共準備はオッケー?」
「問題ありませんわ」
「ミギに同じくデース」
:始まった
:お
:お
:キターーー
:ごきげんよう~
:FMK TOP3のお出ましだ
:こんばんわ
:これ案件ってマジ?
:ドムガルやるんだ
:な~んか1人足りなくない?w
:ご機嫌麗しゅう姫様
案件配信の本番が始まった。
配信は事務所3Fのスタジオで3人全員に集まってやってもらっている。
俺と七椿は、不測の事態に備えて一応同席している感じだ。
「臣民の皆様ごきげんよう~」
姫様がお馴染みの挨拶で自分のとこのリスナーに話しかける。
ちなみに配信枠自体は小槌のチャンネルでしか取っていないので、どっちかというとアウェイなはずだが、そこは流石の姫様で小槌を差し置いて主導権を得ていく。
「ゲームの音量や、わたくし達の音声は適切でしょうか? ゲーム音をもうちょっと大きく? 分かりましたわ、ステちゃん様」
「ワ、ワカッタデス」
「良い感じだそうですわ。ありがとうございます」
テキパキと、配信における細かい設定を幽名が済ませていく。
その様子を後ろで見ながら、俺は後方で腕組みをしながらウンウンと頷いた。
人は成長するもんだなぁ。幽名はもうどこに出しても恥ずかしくない立派なストリーマーだよ。
「なんか姫ちゃんもすっかり配信慣れしちゃったわね。あたしなんか寂しいわ」
「もうステよりベテラン感がある気がスルデス」
「それほどでもないですわ。……あ、ちょっとお花を摘みに行っても宜しいでしょうか?」
「「前言撤回ーー!!!」」
:草
:草
:配信前に済ませておこうね
:配信慣れしてもフリーダムなのは変わらないんだよなあ
:案件なのに出だしから不安すぎる
:FMKにはまだ案件は早かったのかもしれない
:普通に人選ミスだと思うんですけどそれは
幽名は普通にスタジオから出て行って、それから5分くらいしてから何事もなかったかのように戻って来た。無敵か。
「お待たせいたしましたわ」
「うっし、姫ちゃんも戻って来たし、今度こそ始めるわよ。☆ちゃん、お願い」
小槌の丸投げに、☆ちゃんが「了解デス!」と元気に返事をした。
「もうタイトル画面がウツッテルので分かると思いマスケド、今回はこの【ドゥームズガールΘリィンカーネイション】というゲームを、3人でショーカイしてイクデス!」
「これはどういうゲームですの?」
「背中で語るガンスリンガーアクションRPGデス」
「背中で語るってなんか格好いいわね。硬派な匂いを感じるわ」
「可愛いオンナのコの背中とお尻をいっぱい眺めるゲームデスヨ?」
「うーん……これは硬派」
今小槌のやつ、発言までに一瞬間があったけど、余計な事を言いそうになってたな。言わなかったから良いけど。
「ドムガルは、セイヴ・ザ・ピースさんが運営している【PeaceMaker】ってサイトで無料で遊べるわ」
「PCとスマホのリョーホウから遊べるノデ、リスナーのみんなも一緒にプレイしていくデース!」
「それでは早速プレイすると致しましょう」
案件は台本通りにつつがなく進行していく。
問題らしい問題は特に起きていなかった。
ここまでは。
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