【アールビーオー・オンライン】えむえむおーあーるぴーじーというジャンルのゲームで遊びますわ【FMK/幽名姫依/bd】#1

【アールビーオー・オンライン】えむえむおーあーるぴーじーというジャンルのゲームで遊びますわ【FMK/幽名姫依/bd】



「みなさまごきげんよう、幽名姫依ですわー」


:ごきげんようー

:姫様きちゃ

:ありがたや

:姫様ああああああ

:ごきげんよう

:お待ちしておりました!!


「本日はこの……えむえむおー? というジャンルのゲームで遊びますわ」


:ネトゲに興味を持たれてしまいましたか

:FPSやってくれよー

:何やろうと姫様の自由だろ

:やってくれよってなんだよ、やってくださいお願いしますだろうが

:口の利き方に気を付けろよ

:臣民こわw


「まあまあ、みなさま落ち着いて」


 PCの前で幽名はどうしたものかと頭を捻らせる。

 最近幽名の枠ではリスナー同士が言い合うことが多くなってきた。


 その原因の大体は臣民(ガチ幽名リスナー)にある。

 口の悪いリスナーや礼儀のなっていない者に対して、臣民がガチギレすることによってたびたびチャットが荒れるのだ。幽名が諫めればその場は一旦落ち着きはするのだが、それだけでは根本的な解決には至ってないのが現状なのである。


『愚かですね、人類は』


 そんな現状を見て冷たい言葉を出力するのは、スーパーAIのbdだ。


『こーんなくだらないことで言い争いですか。金廻小槌と同レベルでしょうもないです』


「bd様、小槌様レベルというのは言い過ぎですわ」


:小槌と同レベルかぁ……

:それはやだなぁ

:すいませんでした

:次からは気を付けます


 小槌と同レベル扱いされるのはリスナーたちも我慢ならないらしく、チャットが反省の言葉で埋め尽くされていく。

 これはなかなか使える手法だと幽名はひとつ学びを得た。

 流石はスーパーAIである。

 AIというのがなんなのか未だに幽名はよく分かってないのだが。


「と、いうことで本日のゲストのbd様ですわ」


『幽名姫依にMMORPGを勧めた張本人として付き添いです。多分幽名姫依ひとりで始めると恐ろしくグダると思いましたので』


:それはそう

:グダグダを見るのも一興だけどね

:グダグダ過ぎて何も進まないのはちょっと……

:bd有能、小槌無能


「それで今日やるゲームはこの《アールビーオー・オンライン》ですわ」


『アールビーオー・オンラインは、クォータービュー視点の古き良きネットゲームですね』


「なにをするゲームですの? これは」


『まあ、まずはキャラメイクから始めましょう』


 bdの指示に従ってキャラメイクへと入る。

 無駄に豊富なカスタマイズ項目を弄って完成したのは、いつも通り白髪赤目のお嬢様アバター。


「服装は変えられませんの?」


『装備はゲームを始めてからですよ』


「チュートリアル? が始まりましたわ」


 プレイヤーは冒険者としてアールビーオーの大地に降り立った。

 この大地で生きていくために、まずは簡単な操作方法や戦い方をこのチュートリアルで教えてくれるらしい。


『最初は画面に出て来る指示通りに進めておけばいいみたいですよ』


「わたくしのキャラが動きませんわ」


『カーソルで行きたい場所に右クリです』


「動きましたわ!」


『いい調子ですね、上手ですよ』


 bdに褒められながら、姫様はチュートリアルをなんとか進めていく。


「鉄を採取して、剣を作ってこいと言われましたわ」


『そこの鉱石オブジェクトをクリックしたら、鉄を採取できるようですね。ツルハシなどは所持してるだけで装備はしなくてもいいみたいです』


「採れましたわ!」


『ではクラフトの出来る場所に行って剣を作りましょう』


「あっちのオブジェクトはなんですの?」


『そっちのは綿ですね、今は必要ありません』


「こっちのはなんですの?」


『そっちのは木材ですね、今は必要ありません。早く剣を作りましょう』


「こっちの奥に進めそうですわ」


『どこに行くんですか、早く剣を作りましょう』


:bdがゲームの口うるさいチュートリアルキャラみたくなってる

:bd居てもやっぱりグダるじゃないか

:姫様のご自由にさせて差し上げろ

:指示中は黙ってろや

:なんだお前頭小槌か?


 ぐだぐだと寄り道をしつつも、幽名は鉄の剣を完成させた。

 ここまでで30分も掛かっているが、気になるところに突っ走るのが幽名の流儀だ。


「次はクリーチャーを倒せと言われましたわ」


『指定地点にいるMOBを殴りましょう』


「もぶ?」


『Moving objectの略称です。ネトゲではNPCやモンスターのことを指してます』


「なるほど?」


 幽名は言われるがままに狼のクリーチャーを殴って倒した。


「何か落としましたわ」


『シルバー……ゲーム内通貨です。このシルバーを沢山稼ぐのが、ゲームの目的のひとつでもありますね』


「お金を稼ぐだけのゲームですの?」


『他にも強い装備を手に入れて最強を目指すとか……まあ楽しみ方は無限大なのがネトゲですから、プレイしていく上で自分なりの目的を見つけるのが一番です』


「なるほど?」


 そのまま一通りのチュートリアルを終え、幽名はある程度の動き方を把握した。

 そうしてようやくチュートリアルエリアを脱出。

 次いでスタート地点を決める画面になった。


「これはどこを選ぶのがいいのでしょうか」


『地域によって生産ボーナスなどが違ったりするようですね。まあ好きな場所を選べばいいかと』


:是非高原エリアに!

:姫様! 森エリアで一緒に木こり生活を送りましょう!

:雪原エリアに来ればいい装備あげます

:砂漠にしましょう! 他のエリアはクソ!

:お前ら一回落ち着け


「臣民の意見も割れてますわね」


『現役プレイヤーが騒いでいるようですね。ともかく、リスナーの意見には流されない方がいいのでは? 自分の直観で決めましょう』


「それもそうですわね。では、森エリアに致しましょうか」


:やったあああああ

:森に移住します

:総員森エリアに移住!

:うおおおおおお! 時代は森!


 そして森エリアに到着するなり大勢のプレイヤーに囲まれる幽名。

 当然のように貢がれていく数々のレアアイテム。


「なにか沢山送られてきましたけど」


『姫プのお手本ですか』


 これが長い付き合いとなるアールビーオー・オンラインと幽名の馴れ初めなのであった。

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