関係値とゴールとわがまま。

 アヤメの同行発言により混迷した場だが、一つずつ整理していくことでそれぞれの動揺は収まっていく。


「僕はモカちゃんの家に行く。アヤメは?」

「行きます!」

「いや行かないから。アヤメはお留守番ね」

「ええええーーーー!!!?!?」

「リアラさんはアヤメのお守りをしてくれる、と」

「え……い、いえ。構いませんが……」

「おお、本当ですか。言ってみるもんですね」

「う……け、けど優理君の頼みなので……引き受けます」

「ありがとうございます。じゃあ僕はモカちゃんの家、アヤメはリアラさんとお留守番、今から明日の作戦会議、これで大丈夫ですね」


 ふむふむと、名案とばかりにしたり顔で頷く男だ。

 対して女性陣二人だが、片方はしょうがないと大人な微笑を浮かべ、もう片方は。


「全然大丈夫じゃないです!ユーリは私を置いてどこへ行くんですか!!」


 優理の肩を掴んで、ぐいぐいと身体を押し付け迫って抗議する。

 少女の柔らかな肢体に顔を赤くする童貞だ。

 

「ち、近い近い。いったん落ち着こうか。息吸ってー、吐いてー」

「すぅぅ……はぁぁ……」

「吸ってー」

「すぅぅ」

「吸ってー」

「すぅぅ」

「吸ってー」

「すぅぅんんー」

「吸ってー」

「んんん!!」

「ふふ、あははっ――ご、ごめんって叩かないでよ。あは、ふふあはは!」

「ユーリは意地悪です!!」


 ぷいっとそっぽを向いてしまう。アヤメは可愛いなぁ。

 可愛い女の子にちょっとした悪戯をしたくなってしまう男の気持ち、理解できた。これが悪戯心。


「リアラ!ユーリが意地悪です!」

「ふふ、ええ。そうですね。優理君は意地悪です」

「やっぱり!ユーリ!リアラもそう言ってくれていますっ」

「うん。わかったよ、ごめんね。もうしないから許してね」


 なでなで、と。お怒りな少女を撫でる。


「べ、べつに撫でてくれたって許したり……えへへ。しょうがないユーリですっ」

「アヤメは可愛いなぁ」

「えぅ、えへへ」


 ちょろいアヤメにほんわかしつつ、改めてとリアラに向き直る。


「リアラさん、明日、本当にいいんですか?エイラもいるしアヤメは一人でも大丈夫だと思うんですけど……」

「構いませんよ。私も明日は休みですから。予定は入れていませんし、仮住まいの整理も一段落しているので大丈夫です」

「そうですか。……なら、お願いしてもいいですか?」

「はい、お任せください」


 微笑むリアラに優理も安堵する。

 正直、アヤメを一人にするのは少々不安があった。たった一日とはいえ、ようやく一人ぼっちから解放されたばかりの少女だ。できれば誰かと一緒にいて、孤独を感じずに済むようにしてあげたかった。


「優理君」

「はい」

「話は変わりますが、お食事の場所を考えてきました」

「あ。そうでしたね。どんなお店ですか?」

「海鮮専門店です。お刺身より火を通した料理の多いお店ですね。場所は東京の××付近ですが……どうでしょう?」

「いいですね。……個室ですか?」

「ふふ、もちろんです。男性と知られても問題ない場所です。少々値は張りますが、私、お金余っていますから」

「それはでも……」

「でもは禁止です。これくらいさせてください。優理君」


 微笑み、けれど瞳には真剣さを宿して言うリアラに耳の横を掻く。こうまで言われてしまっては仕方ない。潔く奢られよう。やったぜ、人の金で食う飯は最高にうまい。


「わかりました。ええ、存分に食べさせてもらいます」

「はいっ。日程はまだちょっと私の予定がわかりませんから改めてご連絡します。場所もここからだと少し遠いので、お迎えに上がりますね。もうお待たせはしませんよ」

「あはは、はい。家でまったり待たせてもらいます」


 大きな失敗ではあったが、それも軽く話せるくらいには親密度が上がった。これが関係値十の親しさか……。


 一人浸っていると、隣からくいくい服を引っ張られる。


「ユーリ、なんのお話ですか?」

「あぁうん。リアラさんと食事に行くお話だよ」

「ぁ……あの、私は」


 こちらを伺いがちに、ちょっとだけしょんぼりした様子のアヤメに胸が痛む。

 リアラを見て、柔らかく微笑む美人に頷いて感謝を示す。


「アヤメも行く?」

「えと……いいのですか?」


 どうしてこんな不安げになっているのか――そうか。


「うん。い……――」


 言葉が止まる。

 そのまま"いいよ"と言おうとして、これじゃあだめかと思ってしまった。


 優理は、ただアヤメのことを察しただけだ。

 アヤメ自身が何を思っているのか尋ねたわけじゃない。そうかな、と思ってわかった気になっただけでしかない。

 こういうのは、言葉にして相手に伝えておいた方がいいものなのだ。いつも言わずにお互いがわかった気になっていると、本当に大事な時、何も伝えられず拗れてしまう。

 前世でそんな経験を優理は何度もしてきた。それこそ本当に、たった一度の言葉足らずで縁が切れたことが何度も……。


「……ユーリ?」


 呼ばれて、さらに瞳を不安で揺らすアヤメに気づく。

 過去から現在へ意識を戻し、そっと微笑んで少女に答える。


「アヤメ。どうしてそんなしょんぼりしてるの?」

「え、ぁ、私……しょんぼりしているのでしょうか」

「うん」

「……わからないです。よくわからないですけど……」


 優理を見て、リアラを見て。

 ふるふると小さく首を振る。銀糸の髪が弱く揺れる。


「うん。わからなくていいよ。思ったこと素直に口にしてごらん?曖昧でも、まとまってなくてもいいからさ」

「……はい。えと……えと、ユーリ、私を連れていってくれないですよね」

「うん……うん?明日の話かな」

「はい」

「そうだね。連れていけないね」

「それで……きゅぅって胸が痛くなりました。寂しくなりました。なでなでされてぽかぽかしましたけど……ユーリがリアラとご飯を食べるお話をしているのを見たら、またきゅぅってなりました。……私も一緒にご飯食べたいですけど、また連れていってくれなかったらやだなって思って……悲しかったです」

「……うん」

「……私より、リアラの方が関係値が高いからなのでしょうか。置いていかれるのは……ちょこっとですけど、寂しいです」

「うん」


 ぽつぽつと感情を話すアヤメに小さく頷く。

 静かに目を閉じて、言葉を咀嚼し、浅く息を吐く。


「アヤメ」

「はい……」

「ハグしようか」

「えと、どうして――わぷ」

「んー、アヤメは良い子だー」

「んぅ……」


 座ったまま、ぎゅーっと少女を抱きしめる。

 首筋を合わせ、隙間を埋めるように体温を分け合う。感触とか匂いとか思うところはあるが、今だけはそれ以上に別の想いでいっぱいだった。


「アヤメ。寂しい?」

「……さみしくないです」

「じゃああったかい?」

「ぽかぽかします」

「そっか。ならよかった。……えっとね、アヤメ、聞いてくれる?」

「ん……はい。聞きます」


 ハグはそのまま。人の温もりを分け合ったまま話をする。

 リアラには少しだけ待ってもらおう。今はこの子に、まだまだ幼いアヤメに"わがまま"を教えてあげたいから。


「僕はね。誰かと比べたくて"関係値"なんて言い出したわけじゃないんだ」

「……はい」

「アヤメと僕には僕らの関係値があって、リアラさんと僕にも関係値はあって。もちろん、リアラさんとアヤメにだって関係値はある」

「私と、リアラにもですか?」

「うん。リアラさんの顔見える?」

「えと……手を振ってくれています」

「ふふ、そっか。リアラさん。アヤメとの関係値って今おいくつですか?」

「え、急ですね……そうですね。私とアヤメさんはさっきが初対面ですから。でも……エイラのことや優理君とのことを話しましたし、もう四くらいはあるんじゃないでしょうか」

「だってさ」

「え、えと……リアラ。あ、ありがとうございます」

「はい、どういたしまして」


 戸惑いが大きいようにも思えるが、さっきよりは声に元気が戻ってきた。

 さすがはリアラさんだ。


「関係値なんて、結局なんとなくで当てはめたものでしかないんだよ。大げさに感じさせちゃったね、ごめん」

「あ、謝らなくてもいいです。ユーリは悪いことしていませんから……」

「うん。ありがとう。……ね、アヤメ」

「はい」

「僕とアヤメの関係値が低いからって、関係値の高い誰か、それこそリアラさんみたいな人を優先するってわけじゃないんだ」

「……えと、どういうことでしょうか?」

「んと、例えば僕とアヤメが明後日お出かけの約束をします」

「はい。お出かけしたいです」

「うん。それでね、先に約束してたところに、リアラさんが別のところ行きたいって言い出しました」

「……リアラ、意地悪です」

「ふふっ、例え話だからさ。リアラさんに怒らないでね」

「ユーリ。リアラが怒ったお顔でユーリを見ています」

「え"」

「べべ、別に怒っていませよ!!アヤメさん、嘘はだめですからね!」

「えへへ……ゴメンナサイ」

「あ、あははー……うん、いいけどさ」


 アヤメが元気になってきたようで何よりだ。

 代わりに優理の疲れが溜まっていくようないかないような……。あとで考えよう。


 気を取り直して、話を続ける。


「まあ、うん。とりあえずそういうことね。関係値の高い相手が約束に割り込みしようとしてきても、僕は約束を守ってアヤメとお出かけするってこと」

「……はいっ」

「それにね。関係値って、人によって在り方が違うんだよ」

「そうなのですか?」

「うん。アヤメにとって僕とのゴールは何かな?」

「えと、ユーリと愛を教え合うことです」

「そうだね。じゃあ僕とリアラさんのゴールは?」

「え」

「え……わかりません」

「うん。そりゃわからないよね。僕にもわからないもん」

「え」

「ユーリにもわからないのですか?」

「うん。わからないよ」


 二回ほど横から戸惑いの声が聞こえたような気もする。……一応尋ねておくか。


「……リアラさん。ちなみにリアラさんと僕のゴールってなんでしょうか?」

「……」


 返事はない。

 優理の体勢だとリアラの姿は見えないので、銀色の髪を避けてこっそり耳打ちする。


「アヤメ。リアラさんどんな顔してる?」

「んっ、苦しそうなお顔しています」

「ええ……」


 すごい興味湧くこと言うじゃん。

 思うのと同時、耳打ちによるアヤメの声がエッチすぎて理性が欠けた童貞だ。


「……優理君」

「は、はい?」

「私と優理君のゴールは、混浴することです」

「え……えっ!?」

「うー、ユーリお声が大きいです」

「あ、ごめん……」

「ゆ、優理君!このお話は終わりです!いいですね?」

「え、はい……」


 混浴って、どういうことだ。

 させてもらえるなら大歓迎だが、この世界は男性が減っている現状"男湯"そのものが絶滅危惧種となっている。温泉や銭湯はほとんど混浴なのだし、わざわざ混浴したいも何もないと思うが――――ハッ、つまりそうか。全裸で混浴、イチャイチャラブラブ入浴タイムを楽しみたいということか。なーんだ。僕と同じじゃないか。ははは――んなわけあるか。


 奇しくも、優理の妄想に近しいリアラのゴールインである。

 ちなみにリアラの言う混浴は、背中合わせで恥ずかしがりながら露天風呂に入り、背中を流し合ったり、温泉の中で指を絡め合ったりし、のぼせた後に浴衣を着てイチャラブエッチすることであった。最近とことん乙女度が上がっている処女乙女である。


「えっとね……アヤメ。こんな感じで、それぞれの目指す関係値の最大地点が違うんだ」

「ん、わかりました。私とリアラで全然違いました。私、リアラと関係値がMAXになったら"女子会"をしてみたいです」

「ふふ、そっか。うん。いいと思うよ。いっぱい話して、いっぱい仲良くなったら女子会もできるさ。ね?それぞれ関係値の形は違うでしょ?比べたってしょうがないんだ。数値は全然当てにならないんだから」

「それなら、数字はなんのためのあるのですか?」

「あはは。そりゃ二人の間の関係を表すためだよ。僕とアヤメが手繋ぐので精一杯だったみたいに、ちょこっとずつでも上がれば腕を組んだりできるようになるかもしれないからね」

「私とユーリだけの……」

「うん。僕とアヤメの関係値は、僕らだけにしか意味がない数字なんだ」


 少女の理解が進むのを静かに待つ。

 自身の背に回された腕の力が思ったより強く、見かけは可愛らしい雪妖精なのになぁとファンタジーを感じる。あと、胸の感触が柔らかくて幸福だった。これが桃源郷の一端……。


「ユーリ……ユーリは、関係値が低くても私を置いて行ったりしないですか?」

「しないよ。関係値が低くたって、アヤメはもう僕にとって大事な女の子だから。置いて行ったりしない」

「ほんとうですか?」

「うん。本当。置いてけぼりにはしない。離れていたって連絡くれればちゃんと返すし、寂しくなったら会いに来てくれたっていい。一人ぼっちにはしないよ」

「絶対ですか?絶対絶対……ユーリは一緒にいてくれますか?」

「うん。アヤメが嫌になるまで、寂しいのがなくなるまでずっと一緒にいてあげる」


 不安の詰まった声に柔らかく答える。真摯に、ブレなく本心のみを返した。

 きっと……今の一言こそがアヤメの本心だろうから。


「……えへへ、嬉しいです。ぽかぽかします。……温もり、すごいです」

「そうだね。触れてるあったかさだけじゃないのが人の温もりだ」


 ぎゅっと、しがみつくように抱きしめ返してくる。柔らかく、温かく、柔らかく柔らかく柔らか――我が魂よ、無念無想で在れ。


「胸の奥もあったかくなりました」

「それはよかった」

「ユーリ、あったかいの伝わりますか?」

「そんなにあったかいの?」

「はい。触って確かめてください」


 ほんわかと、含みなく笑うアヤメの身体をそっと離す。


「――――アヤメ、それにはまだ関係値が足りないぜ」


 そう。関係値が足りない。もし足りていたら危なかった。無念無想を唱えていなかったら危なかった。発情アラートが鳴っていた。鎮まれ我が心、我が魂、我が未来。


「え、そ、そうなのですか?」

「うん。またいつかね。それよりアヤメ、気分はどう?」

「あ……すごいです。えへへ、もう悲しいのもちくちくするのも全部なくなりましたっ」

「よかった。うん。助けになれたようで何よりだよ」


 喜色満面に微笑む少女へ、菩薩の笑みで言葉を送る。

 じっと目の前にある藍色の瞳を見つめ、優理は最後にともう一つ付け加える。


「それとね、アヤメ。もう一個」

「なんでしょうか」

「えっとね。アヤメ、君はもっとわがままでいいんだよ」


 ぱちりと瞬きし、伝えたことをわかっていない少女に微笑みかける。


「僕がどう思うかとか、リアラさんがどう思うかとか。そんなの気にしないで、自分のしたいように言葉にしていいんだ。一人が嫌ならそう言ってくれていいし、一緒に居てほしいなら頼んでくれていい。寂しいなら傍にいてあげるし、悲しいなら慰めてあげる。我慢しないで、遠慮しないで、嫌な気持ちは全部口に出していいんだ。アヤメはまだ子供なんだから、気持ちを引っ込めたりなんてしなくていいんだよ」

「私……子供じゃないです」

「ふふ、そうだね。身体は大人だね。けど心はまだまだ子供だよ。好きなように、エイラの言っていたように"自由"に生きよう」

「ユーリ……」


 そっと頬を撫でると、嬉しそうに目を細めて優理の名前を呟く。

 いつもの元気いっぱいな笑顔とは違うが、見る側も嬉しくなるような幸せな笑みだった。


「やっぱり……ユーリはユーリです」

「あはは。うん。僕は優理だよ」

「えへへ……。ユーリ、私、明日ユーリと一緒にお泊まり行きたいです」

「いやそれはだめだけど」

「ど、どうしてですかーー!!!!!」


 幸福な笑顔から一転、むっと眉を上げて顔を寄せてくる。

 ごめんアヤメ、なんとなくどんな反応するか察していたけど、予想通りでちょっと面白い。わざとじゃないんだよ。


 漏れそうになる笑いを噛み殺し、どうにか深呼吸して気持ちを落ち着ける。

 深呼吸のせいで肺に染み渡ったアヤメの匂いに脳が浸食される。しんみりした空気が一瞬にして桃色になりそうだ。冷静になろう。


「アヤメ。わがままはいくらでも言ってほしいし、できることは全部叶えるよ。けど、全部のわがままを聞いてあげるとは言ってないよね?」

「そ、それは……そうかもですけど……うぅ」

「ごめんね。アヤメも連れていってあげたいけど、今回は女装した僕の友達だからね……」


 いくらなんでも由梨の友達であるモカの家には連れていけない。これがリアラの家とかだったら事情も簡単に説明できるし余裕だが……ふと思った。モカなら説明すれば軽く受け入れてくれそうだ。……いややめておこう。色々問題が多すぎる。


「お泊まりはどうしようもないから、アヤメにはいろんなお詫びをプレゼントしよう」

「……プレゼントですか?」


 さっきの、心からのしょんぼり具合とは違う。

 沈んではいても考えそのものがマイナスになっているわけではない様子だ。これなら大丈夫だろう。改めて一安心である。


「うん、プレゼント」


 アヤメの髪を撫でながら、はぁと心の中で安堵の息を吐く。

 やれやれ、美少女の相手は大変だぜ。


 格好つけても様にはならない。

 アヤメが精神だけ子供で考える頭も身体も大人だったからよかった。これが本物の子供だったら意思疎通も困難だし、理解してもらうのも理解するのも大変だったろう。優理自身に前世の知識がなかった場合も、こんな風に問題の芽が出る前に解決しようとなんてできなかったはずだ。


 いくつかの要素が絡み合ったおかげで、こうして今笑顔――ではないが、元気なアヤメと話せている。作り笑いでもなく、引っかかったものもなく、疲れた顔も諦めた顔もない。明るく元気な銀髪美少女のアヤメそのままだ。


 しきりに、"どんなプレゼントですか?"と尋ねてくる少女の頭をくしゃくしゃと混ぜ、リアラに軽く頭を下げ、視界の隅に見えた文字に頬を緩める。


【ありがとうございます。優理様】


 自分にだけ見える位置に表示された文字は薄っすらと溶けて消え、後には黒い液晶が残る。


「どういたしまして」


 誰よりも傍で少女を見守る人工知能から目を逸らし、優理はそっと呟いた。



――Tips――


「混浴」

ここで言う混浴は恋人と二人きりであることを指す。

乙女の夢の一つであり、単語一つで多くのシチュエーションが生まれた伝説を持つ。

混浴=裸=エッチが即座に連想されるものの、最終的なエッチ以前の触れ合いを深く見出したことで多くの妄想は形になった。

背中合わせ、白濁湯に垣間見える裸体、肌より滴る湯、声を隠す湯音、体温の熱さを誤魔化す熱、自然と肉体的接触を得られる洗体。

例を挙げるとキリはなく、浴衣や甚平など特有の服装も合わせればいくらでも話の種はできる。乙女の夢の最終着地地点は必ずエッチになるが、過程もまた、この上なく重要と言われる理由の一つである。

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