第8話 カタデリー教団
――パリン!
ダイトの額に風穴が空いた。それは彼の放った青い光弾が貫通したのだ。
ダイトは動かなくなるとその場に倒れたのだった。そしてその直後、背後から声が聞こえたのだ。それは死んだはずのダイト男爵だった。
《なるほど、なかなかやるようですねぇ》
するとハルキは言った。
「おい、もう出てこいよ」
(な、なに?)
イッコは首を傾げた。するとダイトの体が溶けていき、そこから別の人影が現れたのだった。
それはハルキより少し背が低く、痩せ型の女性だった。黒いコートに身を包み、赤い目を光らせていた。その姿はまるで人間ではなく吸血鬼のようだった。彼女はニヤリと笑うとその口を開いたのだった。
《今回はこのくらいにしておいてあげるわ》
それはダイト男爵ではなく、若い女性の声だった。そしてその口調はどこか妖艶だった。
ハルキはその女性を見ると言った。
「やっぱりお前か」
(な、なに? 誰なのこいつは?)
イッコがそう考えているとハルキは言った。
「ああ、こいつはカタデリーの司祭だよ」
「は!?」
それを見て女性はクスクスと笑って言った。
《あらぁ! お久しぶりぃ!》
するとその女性は不敵に笑って言った。
《ふふ、実はこの身体の持ち主とは知り合いでね。ふふふ、まあいいわ楽しかったし。じゃあまたね、ハルキ》
「お、おい待て! ナツメ! おい、セッカ!」
ハルキは彼女の名前を叫んだが女性は不敵に笑いながら次の瞬間には姿は消えていたのだ。そしてダイトの体は溶けていき、奥にいた女性も消えてなくなり、その場には魔石だけが残ったのだった。
「ハルキさん。これはいったいどういうことですか? 詳しく聞かせてもらいますよ!」
「あ、ああ。わかったよ、しょうがねえなあ」
ハルキは頭をかきながらイッコとホリに事情を説明する。
最後に消えた女はハルキがいたフルメイの街のオルドゥアズ教孤児院の元シスターでニッタも世話になった人物で実はカタデリー教の司祭だった人物だったのだ。
説明を終えると二人はその事件について局で再度調査すると言い残し去っていった。
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