第7話 戦闘

 その時、後ろから声がし、振り返るとそこにはダイト男爵が立っていた。


《さあ! どうぞお楽しみください!》

 その声と同時に二匹の獣が飛び出してくる。そしてあっという間に二人に襲い掛かってきたのだった。

 その獣はまるで獲物を狙うかの様に鋭く尖った爪と牙を持っていた。さらにその毛色は闇に溶け込みそうなほど暗い色をしていた。それはまるで暗黒そのものに見えたのだった。そしてその瞳は深紅に染まっていた。


 獣は雄叫びを上げながら二人に向かってきた。


 その時、青い銃弾がイッコの横をすり抜けていき、襲い掛かる獣の額を打ち抜く。


 ――バン! バン! バン!

 次々に放たれる青い光弾に獣の体は貫かれ、地面に崩れる。獣はうめき声を上げながら青い血を噴き出して絶命した。

 そしてイッコはその青い光が放たれた方向を見た。そこには銃を構えたハルキがいたのだった。そして彼は言った。

「おい、大丈夫か?」

 そして倒れたままのホリを見てハルキは驚いた様に言った。


「おい! ホリさんしっかりしろ!」


 すると後ろからダイトが嬉しそうに言った。

《さすがです!》


「ああ?!」

 ハルキが不機嫌そうに言うと、ダイトは続けた。


《やはりあなたは素晴らしい!》

「てめぇは?」


《さあ! 私と一緒にその者たちを始末しましょう!》

「いや、ちょっと待て。お前さっきから何言ってんだ? お前なんか勘違いしてねえか? ってお前は。おいイッコ、とっとと倒すぞ!」


「え、ええ。そうね」

「おいホリさん、おまえは待ってろよ!」

 そう言っている間にもダイトがハルキたちに襲い掛かる。そして二人はダイトとの戦闘に入った。


 一方その頃、屋敷に残ったニッタは調べ物をしていた。その屋敷は三年前に盗まれた魔石を盗んだ組織のアジトだった場所だった。そしてこの屋敷にはもう一つ重要なモノがあったのだ。それは例のブローチである。

 ニッタは隠し部屋を見つけ、その部屋の中を調べていた。そしてついにブローチを見つけたのだ。ニッタはそのブローチに見覚えがあった。それはツノダが買ったと言っていたものと同じタイプのブローチだったのだ。

「あったあ! やっぱこれ、ただの魔石じゃなかったんすねえ」

 そう言ってニヤリと笑うのだった。


 傷ついたイッコとホリはハルキの戦いぶりを見ることになった。ダイトの攻撃は凄まじかったが、ハルキはそれ以上に強かった。

 ハルキが放つ青い光弾はまるで光そのものだった。彼の周りには常に眩い光の粒子が舞っていた。そしてそれが超高速で動き回り、ダイトの放った数々の魔法を打ち消した。

 以前に見たハルキの戦い方とは明らかに違っていたためイッコは思わず呟いた。

「戦い方が変わってる?」

「ああ、あの件からニッタを使わずに戦うようにしてるんだろう」

 以前カタデリー教団の聖石がニッタの身体を危険に晒して以降、彼は一人で戦っている。

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