Ⅲ「裂ける空間と<冥刀>と自己紹介」
『お困りのようですね』
「!?」
突如どこからか声が響く。だが気配は感じられない。
「誰だ!?」
ベッドから起き上がりあたりを警戒するオウカ。
『ああ、姿を見せないのは失礼ですね。今から見せます』
その声と同時にオウカの目の前の空間が裂ける。そこから出て来たのは、
「……剣?」
人ではないどころか生き物ですらない剣だった。鍔金は金、柄は水晶で飾られている両刃剣。刀身の長さから、分類としてはショートソードになるだろうか。ただ、どうにも柄が長いように感じる。まるで元々はブロードソードだった物の刀身を縮めたかのように。そして、独特な“圧”を放っている。
『ええ。貴方がお探しの<冥刀>です』
その言葉に目を見開くオウカ。
前述の特殊な<オブジェクト>や<アーティファクト>に当たるのが<冥刀>にあたる。呼び方はそのまま「めいとう」と呼ぶ事があれば、もう一つの呼び方である「Trinty Giar」や「トリニティ・ギア」、その略称である「Trinty」や「トリニティ」と呼ぶ事もある。
使い手に対価と引き換えに、能力をもたらす超兵器であり、これの使い手となる事も<プレイヤー>となる手段の一つ。一部の異世界系<ダンジョン>で見つかり、どれもが戦況を左右する力を持ち、名家や個人が保管・所持している事が多い。とは言え<アーティファクト>の専門店で売られたり、オークションに出る事もあるが高額で取引される。
「……噂には聞いた事があったけど、まさかそこまではっきりとした自我を持つなんて」
『ふふん』
胸を張る剣。……人体部位は何一つないが、そんな感じがした。
<冥刀>には自意識が存在する。大半は人工知能程度だが、はっきり会話可能な物があると聞いた事があった。まさかそれに出会う事になるとは。
どうにか平静を取り戻しながら、
「ええと、こういう時は確か……」
こめかみを揉みながらオウカは、
「ドウモハジメマシテ。俺の名前はサクヅキ=オウカだ」
自己紹介をする。それに対して剣は――
『これはご丁寧に。私の
こちらも名乗った。
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