Ⅵ「<冥刀>と争いの連鎖とバイオハザード」


 そんな状況下、それらに対抗するためにとある天才が、人智を超えた超常武器を開発したとの事。それが、


私達<冥刀>です』

「なるほど。……ちょっと疑問があるんだけど」

『はい?』

「これ、俺が知って良かったの?」


 世間一般では、<冥刀>は、幾つか種類がある<ダンジョン>の中でも、滅んだ異世界から見つかるオーバーテクノロジーの<オブジェクト>や<アーティファクト>の一種であるとなっている。間違ってはいないのだが……。

 凄い機密事項を聞いてしまった気がする。そんなオウカに【オートクレール】は苦笑して答える。


『ええ、大丈夫です。そもそも自我が強い<冥刀>なら普通に教えてくれますし。知っている人もポツポツいると思いますよ』


 実のところ、公表している人はいるが、あまり信じられておらず、都市伝説の一種となっている。


 閑話休題。


 そして、作り手である『無量大数叢雅』が自分の技術を他の人々にも伝え、≪叢雅一門≫を発足した。その人達が千差万別な<冥刀>を作った。……大半どころか、大体は趣味に走ったが、そのおかげで怪物を駆逐出来たそうだ。

 だが、問題はその後だった。それは、


『そこからは人と人の争いです』

「……予想通りだった」

『予想当たって嬉しいですか?』

「ちっとも」


 ヤバイモノだと軍隊どころか、国すら滅ぼせる物もあったとの事。だからこそ、それらを巡り様々な事態が勃発した。

 単純な個人や集団の殺し合いならまだ可愛い方。国同士が争い、幾つも滅んだ。酷い事例が数多にあり、具体例を挙げるなら……。


『ある所に国が四つありました。それぞれA、B、C、Dとしましょう』

「全部亡国になっていたりしないよね?」


 オウカの嫌な予感に、彼女は返事をせずに説明を続ける。


 ある時、Aが一夜にして滅んだ。それの犯人とされたBと同盟を組んでいたCを、Dは滅ぼした。Aと同盟を組んでいたので敵討ちという名目である。


「……何かきな臭い」

『ええ。これある<冥刀>を手に入れるためにDが起こした自作自演です』

「うわあ……」


 Aは無量大数叢雅と交友があり、かなり強力な<冥刀>を所持していた。それを手に入れる事が動機だったそうだ。


『なあ、一つ確認いい?』

『何でしょう?』

『一夜で滅ぼしたって……どんな風に?』


 嫌な予感がしたオウカの問い。それに【オートクレール】は少し間を置いて話始めた。


『……<冥刀>には様々な能力があるのは貴方もご存じですね?』

「ああ」


 基本的に<冥刀>は身体強化と可変機能を持つ。それに加えて様々な能力を持っており、<スキル>が使えるようになる。それは色々であり、火、氷、雷などの自然現象の操作、概念や因果を操作するモノもある。因みに全く同じモノは存在しない。


『その中でもアレは……【スラエオータナ】は一際凶悪です』

「うん」

『細菌作成と散布です』

「……(絶句)」


 しかも皆殺しを目的とした、タンパク質を餌にして爆発的な感染拡大を引き起こす物がばら撒かれた。それに加えて【スラエオータナ】は細菌の威力を高めるため、細菌の制御、操作、消去は出来ない。要するに作る事とバラ撒く事しか出来ない。


『バイオハザードの結果、全国民一人残らず、骨だけになりました』

「……(唖然)」


 信じられないオウカに【オートクレール】は続けた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【TIPS】


【スラエオータナ】

(・▽・)<能力が能力なので殲滅と制圧はトップレベル。


(・▽・)<あまりに危険なので、亡国事件後に破壊されました。


(#ー#)<残っててたまるか! そんな危険物!


(㈩*㈩)<アイツの作品はスリル満点だから……

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