Ⅴ「圧し折りと解説とポストアポカリプス」

 ******



 いきなり異世界に落ちたオウカ。最初は原因である【オートクレール】を圧し折ろうとした。


『その程度では折れません。それに折れた所で修復します』


 <アーティファクト>や<オブジェクト>はある程度の自己修復機能を持つモノが多い。周囲や所有者の魔力を吸収して修復する。その中でも<冥刀>の自己修復機能は桁違いであり、モノによっては木っ端微塵になっても完全修復する。


「俺の気分が晴れる」


 物に当たる趣味はないが、今回はスッキリする。そんな彼に【オートクレール】は告げる。


『短絡的ですね。それに貴方にはありがたいと思いましたが?』

「は?」


 意味不明な言葉に首を捻るオウカ。【オートクレール】は続ける。


『ここは過去の世界です』

「……おいおいマジか」

『マジです』


 これこそが【オートクレール】のチカラ。しかも劣化しているのにこういう事が可能である。


『帰還する際に、あまり時間が経っていないように出来ますので』

「……」


 澄ました声の解説。理解は出来るが納得は出来ない。取り敢えず、


「フン!」

『痛っ!?』


 オウカはそのへんにあった大きな石で思いっきり【オートクレール】をブン殴った。



******



 そこから一人と一振りの旅が始まった。とは言え、実はこの移動がかなりの無茶だったせいで、出だしから躓いて困った事にはなった。だが、事前に予測していた【オートクレール】の準備でどうにかなった。


 この世界はいわゆるポストアポカリプス。しかも、異世界系<ダンジョン>の様子を知る限り、終焉が完全に確定した世界。

 こうなった経緯はと言えば、


『きっかけはどこも一緒ですね』


 こちらでも、オウカがいた世界と同じように、突如として異空間から怪物が発生した。ところが、対抗する人が少なく、混乱が続き、犠牲者がかなり出た。

 実は、向こうの世界の混乱が比較的早く収まったのは、前兆現象を察知し、〈予知〉、〈予測〉、〈啓示〉が使用できる<プレイヤー>のおかげと、事前予測がある程度出来ていたおかげもあった。一方、こちらではそれがない。それが拍車をかけた。


『人口と国土をかなり失いました』

「俺らも一歩間違えていたらそうなっていたのか……」

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【TIPS】


【オートクレール】

(・▽・)<彼が最初に手に入れた<冥刀>の一振り。


(・▽・)<能力は時間と空間の操作。弱体化してるけど。


(#ー#)<あれで?


(・▽・)<ええ。本来もっとヤベーイんですけど、


(・▽・)<分割されたせいで弱体化。かなり無理してる。


(㈩*㈩)<ここだけの話。他の奴らの方が強いし、使いやすい。


(#ー#)<は? へ? 何で?


(㈩*㈩)<簡単に言えば、時間と空間二兎を追ったせい。


(㈩*㈩)<それ以上は回想編のネタバレになるので割愛。

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