第3話:包帯を巻いたネコ。

嫁さんと一緒になってはじめてうちに来たネコちゃん実は野良でした。

まだサラちゃんも、しんちゃんも我が家にいない頃の話です。


僕の家の下の倉庫からニャ〜ニャ〜聞こえる子ネコちゃんの声。


気になって見に行ったらどこから迷い込んできたのか一匹の子ネコちゃんが・・・。

どこかで飼われてたのかやたら人懐っこくて僕の足にからみついて来るじゃ

ないですか。


僕の顔をみてやたらニャ〜ニャ〜鳴くからお腹が減ってるのかなって思って、

シャケのおにぎりを取って来てあげると必死で食べてました。


どうしようと思って・・・どこかの飼いネコだったとしてもこのまま放っても

おけないなと思って、結局家の中へ。

ケージなんかないから、とりあえず寝床を作ってやって、次の日に、ペット

フードとトイレとおしっこシートだけ買ってやりました。

結局飼い主が探しに来るまで我が家で面倒を見ることにした。


名無しの権兵衛じゃダメだと思って我が家専用の名前をつけてあげることに

しました。

男の子の子ネコちゃんだったことから、うちのお坊っちゃまってことで

名前は「ちゃま」ってつきました。


ちゃまは毛の色が柴ネコみたいだけど白い毛の部分がけっこうあるから三毛かも。

でもミックスだったんじゃないかと思います。


結局飼い主らしき人物は現れず正式にうちのネコちゃんとして飼うことになり

ました。


自由奔放なネコちゃんだったけど、よく僕と嫁さんの言うことを聞きましたね。

おいでって言うとちゃんと来るし、ちゃまって呼ぶとちゃんと返事はするし

寒い日はよく僕のお腹の上にしました。

寝るときも同じ布団で寝てね。

結局ケージで育たなかったから自由奔放だったんですよね。


やはり男の子だから外に出たがるようになって、だから外出用の小窓を作って

やりました。

一度そこから出してやるとすぐ覚えましたね。

朝、散歩に出かけていって夕方、ご飯食べに帰って来る・・・それが、ちゃまの

日常になって行きました。


ある日、ちゃまが胸に大きな穴を開けて帰ってきたんです。

ネコちゃんの皮は硬いはずなんですが、皮だけが破れた状態で中身が見えて

いました。

血は出ておらず一安心。


すぐに病院へ連れて行って傷を縫ってもらったんんですが、通院はせず毎日

薬を塗って包帯を取取り替えてやりました。


それでも遊びに行きたがるから包帯が解けないないよう、しっかり結んで

やって外に出すんですけど、帰ってきたときには包帯はないんです。


でも、そんな格好で走り回ってるから、ご近所では「包帯を巻いたネコ」って

有名になっちゃって。


でもネコの治癒力ってすごいもんです。

傷は一週間くらいで綺麗に完治しました。

傷跡も分からないくらい。

それはすばらしいとしかいいようがありませんでしたね。

ネコちゃんはよく寝るって言いますが、あれはしっかり自分の

体力を回復してるんですね。

ネコちゃんを見習うなら、人間もしっかり睡眠は必要かなって思います。


男の子のネコちゃんは女の子と違って縄張りが広いっていいます。

いつの日か、ちゃまは外に出かけたっきり二度と帰って来ませんでした。


考えられることは道路を渡っていて車に轢かれた・・・それしか考えられ

なかったです。

一応、周辺は探しには行ったし、何日も帰って来るのを待ちました。

でも結局帰ってくることはありませんでした。

ちゃまの亡骸がないまま僕と嫁さんでお葬式をあげてやりました。


だから外には出したくなかったんですけどね。


でも外に出さないってそれって監禁でしょ、束縛ですよね、ネコちゃんの自由を

奪っちゃうってことですよね。

僕のうちでは、そういうことはしたくないので危険があっても基本ネコちゃんは

外に出すようにしてるんです・・・今もです。


なんですが今、我が家にいるネコちゃん「み〜ちゃん」と「ク〜ちゃん」ふたりは

外に出たがりません。

外が怖いんです、生まれた時から外の世界を知らないからです。


ちゃまが行方不明になってからサラちゃんが我が家に来るまでネコちゃんは

ひとりも飼わないままでしたね。


つづく。

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