オーク③

 

 オークは食えるか否か。

 これは非常に難しい問題である。なにせオークの見た目は人型の豚である。豚は食える。間違いない。しかし二足歩行の、集落を作って原始の人に近い生活を送る豚人間は食えるのか。

 論理的観点でいえば、食べたくない。が、今回の騒動で大量のオーク肉が出回る事になったのだ。魔物の肉という観点であれば問題ないが、オークの肉となれば話は別である。

 

「どうすんだこれ・・・・・・」

 

 山と積まれた、肉塊。加工したオーク肉である。

 朝早くにアリーザの部下の1人が、馬車で持ってきたのだ。断ったのにアリーザに怒られるからと置いて逃げやがった。

 

「オークだって思わなかったらいけるか」

 

 見た目はただの豚肉である。丁寧に加工し、魔法で防腐処理までされてるらしい。つまり簡単に腐らないので埋めるわけにはいかないのだ。焼却処分もこの量は難しい。

 

「仮にも魔物研究者、食わない訳にはいかない、か?」

 

 食った所で害はないのだ。元の見た目を知らなければ躊躇は無いが、下手すりゃ喋る人型の豚とか最悪だろ。

 散々躊躇するが、仕方なく食う事にする。大丈夫大丈夫ただの豚だ・・・・・・。

 

 

 ーーーー

 オークに関する報告内容


 オーク。

 3体から5体の小規模の群れを作り、狩りをして繁殖する魔物。知能は低いが個体によっては人語を解し、人の言葉を話した例もある。簡素な武器や日を用い雑食。

 魔王種はオークキングと呼ばれ、通常の個体が成人男性程に対し数メートルに及ぶ巨体を持つ。王国史に確認された事例は二件であり、そのうちの一体は禁術によって産み出されたとされている。


 オークナイト、パラディン。

 キングの誕生と共に産まれるナイトとパラディンは通常のオークより大きな体と、スキルによって武器と鎧を生み出す事が出来る。ナイトは更なる進化によりオークジェネラルとなりオークジェネラルは数体のオークをオークナイトへと置換させ、これらは非常に短い期間で行われる事でオークの軍団は周辺を喰らい尽くしてオークキングの影響を高めていく。


 王国に現れたオークキングはどちらもオークジェネラルが誕生する以前であり、被害は抑えられたと考えられる。


 オークディザスター。

 災厄の名を冠する魔物の一体であり、出現条件が不明。過去のオークキングが誕生した際にはいなかったとされており、またオークキングがいない場合でも存在する事がある。

 瘴気をまとい、瘴気は生者に影響を与え狂化という現象を引き起こし、過去に1国が一体のディザスター級の魔物の出現により壊滅した事により災厄と呼ばれるようになった。

 瘴気に対しては大規模儀式祈祷聖域サンクチュアリによって無効化、弱体化が可能であり、強靭な意志や精神耐性系のスキルがあれば克服可能とされるが検証には至っていない。


また、一部でオークは繁殖に際して、他種族を用いる事があるという研究内容が発表された事があるが、オークが他種族との繁殖に成功した事例は無い。



 オークの味は豚肉と酷似している

 

 

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