第10話
澄佳がスムーズに話を進め、今日がその彼氏と会う日。
某ファミレスで「先に席取っておくね」と連絡があった。
未だに気がのらないが……仕方がない。澄佳の頼みだし。
澄佳に会うのだから、最低限かわいいと思えるメイクと服を選んで、家を出た。
「あ、まのちゃん! こっちです!」
ファミレスに着き店員さんに待ち合わせの旨を伝え、店内を見渡していると、控えめに手を振っている澄佳を発見した。
内心、かわいいと思ったことには気づかないふりをしておこう。
そんなかわいい澄佳を台無しにするかのように、隣に男がいる。
かったるそうに座り、スマホをいじっている。
あんたが呼んだんでしょうが! という私の視線に気づいたのか気付いていないのかどうでもいいが、男がこちらに気付いたようで、会釈をしてきた。
「はい、まのちゃん座って」
さすがに私が座ると男はスマホを置いた。
「紹介するね、私の彼氏の
「初めまして、まのさんのお話は伺っております。澄佳と仲が良いようで。どうぞよろしく」
ニコリと模範解答のような笑みを浮かべ、こちらに手を差し出す男、もとい悠誠さん。
なんだろう……。なんか気に食わない。もともと澄佳を奪っていった男だから、気に食わないのは当たり前なんだけど、それとはなんか違う。
女の勘ってやつ? こいつは危険だと私の本能が言ってる気がする。
そんな否定的な考えは美辞麗句で包み隠す。
「こちらこそよろしくお願いします、悠誠さん。澄佳の友人のまのです。澄佳がいつもお世話になっています」
差し出された手を軽く握り、軽く微笑んだ。
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