第9話

「まのちゃん! 私の彼氏と会ってくれませんか!?」


「……は?」


 耳を疑った。

 澄佳の? 彼氏と? 会う? 私が? なぜ?


 ふぅ、いったん落ち着こう。まず理由を聞くのが先。


「なんで? いきなりすぎて今パニックなんだけど」


「いやえっと、恥ずかしいことに私、彼氏にまのちゃんの話ばっかりしててね、そしたら会ってみたいって言いだして。私も最初は冗談だと思ったんだけど予定とか聞いてくるから本気なのかなって思っちゃって。3人で、どうですか?」


 なるほど。話は理解した。理解したけどさ、


「おかしくない? 会いたいと言い出すその彼氏の思考回路がよくわからない。それにカップルとフリー女って何その空間。地獄? 地獄か? 気まずくなるのが目に見えてるんだけど」


「私もそう言ったんだけど、納得してくれなくてね」


 だから会ってくれない? と懇願してくる澄佳。


 いやおかしい。理解はしたけど納得はできない。

 大人数で集まって、その中の一人が私とかだったらまだわかるけど、3人で?

 本当に理解できない。


 けど、澄佳の彼氏がどういう人なのか見ておきたいし。

 私は話を聞いただけだから、正直どんな人なのかまだ理解できていない。


 しょうがない。会うか。


「わかった、予定空けとく」


「ありがとう! また連絡するね!」


 半端なクソ野郎ならぶっ飛ばしてやる。

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