第6話

「まのちゃん、今週の土曜日遊ばない? 空きコマになってね」


「ごめん、私先約入ってるんだ」


「そっか。また今度にしようね!」


 ちょっと引いてみたり




「なんか、今日のまのちゃん甘えただね」


「そう? いつも通りだよ」


「そうかなー?」


 逆に甘えてみたり。


 なのに全然伝わらなくて、澄佳は変わらず彼氏にぞっこん。


 もっと大きく行動したらいいって思うかもしれないけど、そんなことして嫌われたらどうしようって不安になるし。

 つくづく面倒くさい女だなって実感する。



 澄佳なら私をわかってくれる。私のことを一番に想ってくれる。もう6年以上も一緒にいるんだもの。離れていくわけない。

 なんて酷く期待すればするほど、どんどん心が削れていく。



「澄佳はかわいいしいい子だし、彼氏ができるのは当たり前」


 私の気持ちを裏切る澄佳は最低な子。


「女の子を好きになる私が変なの」


 人を愛すことに性別なんて関係ないでしょ。


「期待しちゃダメ。縛っちゃダメ」


 私のものになればいいのに。


「誰も悪くない」


 本当に?


「私が、悪いの……」


 全部、彼氏アイツのせいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る