第3話

「はぁ……」


 午後7時。

 少し早めに帰ってきた私は、家に着いたとたん倒れこむようにベッドに寝転んだ。



__「澄佳が少しでもいいなって思ってるんだったら付き合ってみたら? ちゃんとその先輩にも伝えてさ。お試し、じゃないけどそんな感じで」__


__「わかった、まのちゃんがそういうなら付き合ってみるね! いつも相談のってくれてありがとう」__



 私の気持ちとは裏腹に、口が勝手に動いていた。


「ほんっと、私ってばか……」


 ぼんやり天井を見つめる。

 あのまま、澄佳は幸せになるのかな。

 付き合って、大学を卒業して稼ぎが安定したら結婚して、何人か子供もできて。

 澄佳は女の子が恋愛対象じゃない。私のこと、ただの親友としか思っていないんだ。


 ああ。もう……。

 「澄佳が幸せになれるなら、その隣にいるのが私じゃなくていい」なんていえるほど私はきれいじゃない。


「ほんとに嫌いよ……」


 私以外を好きになる澄佳も、同性を好きになってしまう私も。


 小さく呟いた私は、そのまま意識を落とした。

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