第66話

「またあそこに行くのか? 兄貴? オレは正直、凄く遠いところにあるから行きたくないんだけどな」

「まあな……」


 閻魔庁は、人間の住む世界から五百由旬ごひゃくゆじゅん(古代インドでのサンスクリット語のヨージャナという言葉の音写で1由旬はだいたい10キロメートル)というものすごく遠い所にあるって本に書いてあったっけ。それと、仏のいない世界でもあるんだって。でも、閻魔大王は地蔵菩薩と習合していて、人々の信仰対象にもなっているんだ。


 そのまんま勧善懲悪だけれど、秦広王しんこうおう(初七日)初江王しょこうおう (十四日)宋帝王そうていおう(二十一日)五官王ごかんおう(二十八日)閻魔王(三十五日)変成王へんじょうおう(四十二日)泰山王たいざんおう(四十九日)と亡者には、七回もの審理があるって本に書かれてある。


「まずはここ大叫喚地獄から閻魔庁へ行く方法を探そう……あ! そこんところは全然大丈夫だった。音星の浄玻璃の鏡があるじゃないか!! 音星の持つ手鏡は浄玻璃の鏡の欠片って言っていたから、閻魔庁へと難なくいけるはずなんだ! 閻魔庁へ行くのなら、俺たちはただここで、音星を待っていればいいんだけなんだよ!」

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