第19話


…………


 翌朝。


 ジリリリリリーーーン。

 ジリリリリン。


 と、あらかじめ民宿の朝食の時間に間に合うようにと、俺が昨日の夜にセットしておいた目覚まし時計がけたたましく鳴った。

 

 真夏の朝日で暑くなってきた布団から起き上がると、廊下へでて狭い階段を下りる。


 荷物といっても、財布と携帯とリュックサックしかない。

 台所へ向かうと、 

 

「おはよう。ぼうず」

「おはよう」


 おじさんとおばさんが明るい花柄のテーブルに、朝食が盛り付けられた皿などを四人分配っていた。

 

「火端くん。そこの醤油とって」

「あ、ああ」

「ぼうず。お替りするだろう。茶碗は大きい方がいいだろう」

「お、おう!」


 俺はおじさんとおばさんにいわれて、食卓で忙しく立ち回った。

 それから、おばさんに呼ばれて台所へ行く。 

 宿賃をまけて貰ったから、仕方ない。

 おばさんの台所でのテキパキとした動きに、付いていけずにいると、


「まだ、この時間は巫女さんも谷柿さんも、吉葉くんもこないからなあ」

「は、はあ」

 

 谷柿さん?

 古葉さん?


 って、誰?


 俺は首を傾げたが、すぐにわかった。


 あ、そうか。

 この民宿のお客さんだ。

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