第6話:妹たち
食事を済ませ、風呂に入った後、俺の
暗殺するために、俺はいくつかの観察をした。
彼女らは別々に2人のメイドによって世話をされていた。
しかし、授乳の場合を除く。母乳育児はお母さん自身が行う。
そして今は下僕たちのお風呂の時間だ。
つまり現在、彼女ら二人だけが部屋に置かれている。
今はまさに暗殺のグッドタイミングだ。
それに彼女らの部屋は俺の部屋の隣にある。
俺は彼女らの部屋に行き、ドアを開けた。
俺はベッドに近づき、彼女らの様子をうかがった。彼女らはぐっすりと眠っている。
睡眠中に死ぬのなら、それほど苦しまずに死ねるだろう。
「俺を恨むなよ。呪うなら己がこの家庭に生まれ落ちたことを呪え」
俺が彼女らを殺しても、両親は俺を疑うことはないだろう。
なぜなら、今俺の外見は3歳の児童だから。
3歳の子供が人を殺すなんて……。
それに「ろうそくの管理が行き届かなかったから火災が発生したのだ」という言い訳を利用することもできるんだ。
右手を上げて、魔法を発動する準備ができた。
手の平に魔法陣が現れて炎が出た。
「すまんな。お前ら、来世があったら、幸せになることを願う」
さあ。
ゆっくりと右手に魔力を注ぎ込み、炎はだんだん大きくなっていった。
俺が魔法を発動しようとしたその瞬間に、いきなり彼女らは目を覚ませた。そして俺を見て、俺に笑みを浮かべた。
「ハー、アッ、アー」
「ワァー、ハッ、フッ」
やべえ―――彼女らはとても可愛い!
無意識のうちに魔法の流れを止めると炎と魔法陣が消えた。
彼女らのかわいさに惹かれた。
突然、我に返った。
まずい!うっかりして気を逸らせてしまった。
彼女らに影響されたなんて。
再び右手に魔力を注いだ。
魔法陣が現れて炎が出た。
そして魔法を発動すること。
……だが、なぜか手を出すことができない。
俺は心を鬼にしたが、彼女らを殺すことはできない。
―――どうして?
「フー、アー、ウー」
「ウー、フー、フッ」
彼女らは俺に微笑みかけている。
「お前らを殺したいのに、どうして俺に微笑みかけるの?」
魔法の発動を止めた。
冷静になり考えると、ここで生まれたばかりの彼女らを殺すのは、少しかわいそうだと思った。
それでも、自分の地位と公爵相続権を固めないと。
ならば、どうすればいいのか?
うんん……でないと、しっかりと彼女らを洗脳し、俺の命令に従わせるのだ。
自分の公爵相続権を強固にすることができるし、彼女らを死なせることもない。
―――そうすることが
よし、そうしよう。
✭✭✭✭✭
赤ん坊は生まれてから二ヶ月ぐらいで、記憶が始まる。
この時から彼女らを洗脳し始めるのが一番いいタイミングだ。
時間があれば、彼女らと一緒に遊ぶ。
一緒に遊ぶといっても、実は彼女らを洗脳するのだ。
それから、彼女らは徐々に俺の命令に従うようになった。
どうやら俺の洗脳にはとても効き目があるようだ。
一年後……。
俺は4歳になり、彼女らは1歳になった。
今俺は彼女らの部屋で遊んでいる《洗脳》。
彼女らは綺麗な金髪とぱっちりとした大きな青色の瞳を持っている。
彼女らの金髪と青色の瞳はお母さんから遺伝したようだ。
俺は多分お父さんから遺伝したのだろう。
お父さんも俺も髪は黒くて少し淡い青と紫色の瞳だから。
そしてお父さんの名前はラフィダート・ガルメス・クラースファだ。
この世界の貴族はみな、自分の領地の名称を名前の後ろに入れる習慣がある。
だからクラースファはお父さんに現在支配されている領地だ。
それと、お母さんの名前はゼニティーヤ・ガルメスだ。
女性は結婚したら改姓するという習慣がある。夫の家の姓に変える。
俺の双子の妹たちは、姉がレーリナで、妹がレーリア。
でも、俺は彼女らをリナとリアと呼ぶ。
そして、彼女ら二人はとても似ていて、見分けがつかない。
だから、色で彼女らを区別した。
レーリナの服は青系、レーリアの服は赤系だ。
これで取り違えることはない。
「リナとリアは良い子だね」
レーリナとレーリアは俺の言葉を聞くと、可愛く微笑んだ。
「やあ、よいこ」
「よいこ、よいこ」
やあやあと言葉を
「良い子にしていたから、ご褒美を上げような」
両手に魔力を注ぎ、魔法陣が現れた。
次の瞬間、七色の光芒を周りに放った。
―――部屋全体が光芒に包まれている。
レーリナとレーリアは目をぱっちり開け、うれしそうにその光を見つめていた。
「どうだい?綺麗だろ?」
「へっへっ、きれい」
「わぁ、きれい」
「そうだろう。これからも良い子でいたら、また見せてあげるな」
俺の命令に従ったら、また褒美をくれてやる。
これが最も効果的な洗脳方式だ。
だけど、もし彼女らが俺の命令に従わないのなら、その時には殺すからな。
が、そのような事態は発生してほしくない。
俺の支配下に入り込ませたい。
将来、必ず利用する時が来るはずだ。
前世で組織に裏切られたから、俺は裏切りが大嫌いだ。
だから、彼女らを裏切ることはないけれど、彼女らも俺を裏切らないでほしい。
さもなきゃ、簡単に殺してしまうようなことはしない。悲しくて生きていたくないと思うようにしてやる。
俺は裏切りを
✭✭✭✭✭
彼女らはもう歩けるようになった。
それに俺の指令に対する従順性もとても高くなった。
これはかえって俺を動揺させた。
彼女らの進歩の速さは俺に恐怖感を抱かせた。
そこで、洗脳計画を一時停止し、以前の生活を取り戻すことにした。
―――書斎にいて真面目に勉強する生活。
だが……。
朝食ののち、昼食まで書斎にいた。
昼食をとるため食堂に向かう途中、一人のメイドに会った。
あのメイドは焦っているように見えた。
俺はそのメイドを知っている、彼女の名前はミミヤだ。
彼女はレーリナの世話をするメイドだ。
綺麗な青色の瞳と赤色の長い髪を持ち、その髪をポニーテールにしている。それにかわいい髪飾りもつけている。
背が高くないように見えるが、年齢は高校生ぐらいだろう。
けど、どうしてそんなに焦っているのだ?
何が起こった?
ミミヤは俺を見ると冷静さを取り戻した。
すぐに俺のところに来た。
「どうしたの、ミミヤ?」
「すみません、ノルス様。レーリナ様とレーリア様はノルス様が朝一緒に遊んでくれなかったといい、大泣きしました」
「そうなんだ」
この知らせを聞いて、ちょっと嬉しかった。
これは俺の洗脳が本当に効果的であることを証明していた。
今彼女らにとって俺は不可欠な存在だ。
このまま、洗脳を続けていけば、効果がより顕著になるかもしれない。
「わかった。昼食の後、リナとリアと一緒に遊ぶよ」
ミミヤは俺の言葉を聞いて、嬉しそうになった。
「ハっ!ありがとうございます、ノルス様」
これからは時間を作り、彼女らの部屋に行って、洗脳を行わなきゃ。
でも、俺はこの世界についての知識がまだ足りない。だから、勉強の時間は夜中になった。
三ヶ月間の洗脳活動でかなり疲れた。しかも勉強のため睡眠時間も短くなってしまっていた。
このままでは絶対に草臥れてしまう。
俺には少し休憩の時間が必要だ。
しかし、勉強は俺にとって、とても重要だ。
それゆえに洗脳の時間を削るしかない。
だが、俺が行かなかったら、彼女らはきっと泣いたりすねたりする。
どうすればいいかな?
えっと……あった。
洗脳は予定通りに行なうが、疲れたら魔法 《睡眠》を使って彼女らを寝かせる。
《睡眠》は無属性中級魔法。文字通り、他人を眠らせることができる。
そうすることで俺はちょっと休むことができる。
頑張らなきゃ、人々を支配するために。
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