第8話
うつらうつらするような、心地よい揺れや、振動音、適度な気温。
これがバスだと言わんばかりに。
よく知っている。
あのバスだ。
もっとも〈あの頃〉のバスは、座ってなど居られなかった。
満員の、押し込まれて上った、僅かな段差から落ちそうになりながら、手摺りに掴まって耐えていた。
心など知らない。
そんな頃。
私は私の闇の中で、きっと藻掻いていたんだと思う。
ピークだ。
内面と外面の区別など知る由も無い。
私は私を、優しい、心の美しい子だと信じていた。
心など知りもしなかったのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます