〇〇〇〇

 いや、嘘に決まっている。


 あたし自身にだって、自分を完全にわかることなんてできない。


(あたしは右手にオレンジジュース、左手にティッシュゴミを持ってたとき、なぜかゴミ箱にジュースを捨てちゃったことがある。なんでそんなことになったのか今でも全然わかんない)


 そんなあたしのことをまさか、あんなポンコツのママロボットが、なんでもわかるなんてこと、あるもんか。


 きっと、ママロボットを開発した科学者は最悪の子どもタラシの詐欺師で、悩んでいる子どもはコレを言われたらイチコロ・・・みたいな考えで、アレを言うように仕向けたに違いない。


 それでも、あたしの心の中の赤ちゃんみたいな部分は、きっちり浮かれていた。


 ママロボットは、感情のないロボットだけど、あたしのことならなんでもわかってくれるんだわ! なんて。


 その夜は、なんだかずっと胸の中が甘い気持ちで満たされていた。


 ・・・入浴を済ませたあと、廊下でジュンに腕を引っ張られるまでは。

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