寤寐思服
意味のわからない記号にイーコルで結ばれた数字、さっぱり意味が分からない。ただ記号がアルファベットに対応しているとするのならば"𓅂"の記号はあきらかに母音だ。"𓏏𓅂"の形が3つあるのも気になる。そういえば"𓅂=1"だったよな。母音で1といったら……。といったことを2人で考えていたとき、ドアの方からヒタヒタと足音が聞こえる。その音はだんだんと近づいてくる。
隠れなきゃ。2人は
そのときもうひとつの足音が聞こえた。それは小さな生き物の音だった。それは「ガルル」と威嚇をし、化け物に向かって飛びかかった。化け物は対抗するかと思いきや、動けずに小さな生き物に目の前で殺害された。黒い犬だった。一瞬の出来事で何があったかよく分からなかったが、戦闘中黒い犬は頭が3つあったようにみえた。しかし、全てが終わったあとに何度見ても頭は1つしか見えず、それはクローゼットの中にいる僕たちの方に一直線で近づいてこう言い放った。
「人間よ、今すぐ……に……て……s……」
その黒い犬は霧のようにこの場から姿を消した。そしてその犬が居た場所に1つの紙が落ちていた。
「謎を解いて私のところに来て。」
何が何だか分からなかった。しかし、一旦落ち着こう……暗号の中の"𓅂=1"について考えると、数字はおそらくアルファベットのABCの順番を表しているんじゃないかと思う。もしそうなら、𓇌は9番目の"I"、𓇋は5番目の"E"、𓅂は1番目の"A"、𓏏は20だから……"T"だ。そしてさっきの化け物、自分でもよく見れたと思うけど、足にBが書いてあった。たぶん𓃀は「B」の記号を表しているっていうことなんじゃないか。同じように考えると、𓎼はGだ。
よって暗号は"TAIGATABETAI"…。もしかして鯛が食べたいっていうことなのか。なら皿に鯛をのせれば……。
「岬さん、のせてみてもいい?」
彼女は快く「いいよ」と言ってくれた。皿に鯛をのせると凹みが少し沈み、扉の鍵が開く音がした。その瞬間、僕は開けるか開けないか、"選択"を迫られてた。この扉に対して抗い難い嫌な予感がする。開けたらもう二度と戻れないような……。岬さんは開けてみたいらしいけれど、どうしたものだろうか。
悩みに悩んだ結果、1つの結論を出した。これがもし罠で、この夢に囚われたり帰れなくなってしまっても、後悔はない。だってこれは僕がした決断で僕が進んで行く道だからだ。いつだって自分を信じられなければ、正しい選択も正しくなくなってしまう。だから大事なのは選ぶことじゃなくてどちらの道も後悔がないように尽くすことなのかもしれない。起きていようが寝ていようがこの経験は、君との思い出は、絶対に忘れたりしない。だから僕は挑戦してみようと思うんだ……。
……僕は扉を開けた。
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