第3話 約束された騎士の未来
KP : 深い雲に覆われたまま日が沈み、暗くなり始めた頃。テオンは周りを見渡して地図をあなたに見せます。
傭兵テオン : 「国王ボードゥアンは、逃げている最中だと思う。ヴァルテル、お前はこの
地図の丘と湿地帯、どちらに国王が逃げてくると思う?」
ヴァルテル : 「僕なら隠れやすい湿地帯を目指しますが……状況を考えると、痕跡が残り
やすい湿地帯よりも丘を目指すのではないでしょうか?」
傭兵テオン : 「なるほどなぁ? うん……お前に賭けてみるか!」
ヴァルテル : 「ついていきますから、早く行きましょう。」
傭兵テオン : 「いくぜ、丘へ!ボードゥアンはそこにいる!ついてこい、ヴァルテル!」
ヴァルテル : 「チャンスが逃げる前に」
傭兵テオン : 「ああ! チャンスを逃がすな!」
KP : テオンは丘へと馬を向けます。
ヴァルテル : テオンの後を追って馬に拍車を掛けます。
KP : 丘につくと、以下の光景があなたの目に入ります。
あなたは、単騎の騎馬と、少し離れた位置からそれを追う騎馬隊を発見します。
追われている一騎を駆るその騎手は、間違いなく逃亡中の国王です。
それを追う一群はブルガリア軍で、しきりに国王の馬に矢を射かけるなどの攻撃を仕掛けています。
ヴァルテル : 「師匠。どうやらあれで間違いないようです。
……本当に逃げ出したんだ」
傭兵テオン : 「俺には見えねえ、どれだ!? 短剣で示してくれねえか、ヴァルテル」
ヴァルテル : 腰から短剣を抜いて、「ほら、あれです。先頭を駆けている単騎。
……あ、今矢が危ないところを掠めましたね」
と、切っ先を使ってテオンに示します。
傭兵テオン : 「なるほどな!? ヴァルテル、先陣をお前に任せる。
俺は後方から敵を切りに入る。ボードゥアンを守りに行くぞ!」
ヴァルテル : 「……ええ。せいぜい、恩を売ってやりましょう、師匠」
と何か含んだような笑みを薄く浮かべて頷き、馬首を国王のほうへ向けます。
ヴァルテル : では、そのまま丘を駆け下りて乱入してもよろしいですか?
KP : はい。
KP : ここからの戦闘なのですが、ほぼ演出のような戦闘となります。
KP : どういうことかというと、かっこいいRPで敵を倒そうとすると、ボーナスダイスがじゃらじゃらKPから出てきます。
ヴァルテル (PL):おお……!
KP : ということで、かっこよくブルガリア軍を倒しましょう!
ヴァルテル (PL):わかりました!
KP : 丘を越えて、ボードゥアンが逃げてきます。どこから乱入しますか?前から交差するように入ります?
ヴァルテル : はい。逆走して、真正面から国王とすれ違うようにして乱入します。
ヴァルテル : 「群れることしかできないのか、腰抜けども!」
と、傭兵仕込みの荒々しい声と共にブルガリア兵の前に立ちふさがりましょう。
ブルガリア兵 : 「(なんか叫んでる)!!!」
KP : ブルガリア兵達は威勢のよい声を上げながら馬を走らせつっこんできます
傭兵テオン : 「油断するなよヴァルテル!」
ヴァルテル : 腰から剣を抜き放ち、「わかってますよ! 師匠こそ、足を引っ張らないでくださいよ!」と生意気に言い返しつつ、こちらへ向かってきた兵士の首を狙って剣を一閃させようとします。
KP : はい、ではボーナスダイス2で振ってみましょう!
KP : ダメージ計算は行いません、成功したら敵は倒れます。
【ヴァルテル……コロコロ (近接戦闘:剣技)1D100<=70 ボーナスダイス2 出目 67,77,47⇒ 47 ⇒ レギュラー成功】
KP : ヴァルテルは剣で敵の喉を切り裂き、敵は馬から転がり落ちていきます。
傭兵テオン : 「ひゅぅ~~!!」
ヴァルテル : 剣から血を振り落とし、「次! 殺されたい奴からかかってこい!」と後方の兵士を挑発します。
KP : 残り2体の騎兵としましょう。あなたを挟むように突撃してきます。
傭兵テオン : 「挟むつもりだ、どっちをやるんだ…!?」
ヴァルテル : では、小柄な体を活かして馬体に身を伏せて攻撃をかわしつつ、まずは自分の右手にいる敵の顔面に向かって剣の切っ先を突き出します。
KP : ボーナスダイス、また2つでいきましょう。
KP : 判定どうぞ。
【ヴァルテル……コロコロ (近接戦闘:剣技)1D100<=70 ボーナスダイス2 出目 62, 42, 72 ⇒ 42 ⇒ レギュラー成功】
KP : 敵は剣の切っ先が腹の皮鎧を破り、馬上から吹き飛んでいきます。
KP : ごりっという鈍い音と共に、転がり落ちていくのが見えました。
ヴァルテル : ちらりと一瞬だけ視線を向けてから、すぐに振り向きます。後方へすり抜けていった左側の敵の兜と鎧の隙間を狙って、うなじを狙って先ほどの短剣を投げてみます。
KP : いいですね!ボーナスダイス3で行きましょう!
【ヴァルテル……コロコロ (近接戦闘:剣技)1D100<=70 ボーナスダイス3 出目 26, 76, 56, 96 ⇒ 26 ⇒ ハード成功】
KP : 鋭い短剣の剣先が、仮面の中に吸い込まれるように入ります。
血が噴き出たかと思うと、沈黙し馬と共に止まりました。
KP : 戦闘終了です!
ヴァルテル (PL):やったー!
KP : あなたは見事ブルガリア兵を撃退しました。テオンも戦いを終え、ヴァルテルの後方から走ってきます。
傭兵テオン : 「こっちも落ちたやつを一つ仕留めたぜ。けがをしちまったがな」
傭兵テオン : 「ヴァルテルの方は無事か?」
KP : テオンは腕に刺さった短剣を抜き、その怪我に簡易な治療をしながら、戦いのあとのあなたの様子を見ています。
ヴァルテル : 「準備運動にもなりませんでしたよ。僕は無傷です」と、馬から降りて短剣を回収しながら答えます。
傭兵テオン : 「こりゃ、一本取られたな」
国王ボードゥアン : 国王ボードゥアンの馬は、先頭で疲れきってよたよたと歩いています。
傭兵テオン : 「おっと、俺たちの報酬が逃げちまうぜ」
ヴァルテル : 「ほら、師匠。チャンスですよ」と、テオンに先頭を譲りながら後をついていきます。
傭兵テオン : 「ああ、まだ追手がくるかもしれねえ、いくぜ」
KP : テオンはボードゥアンの傍に駆け寄ります。
傭兵テオン : 「陛下、無事ですかい? 俺らが来たからには、駐屯地まで送り届けやすぜ」
国王ボードゥアン : 「ああ、ああ……すまない。逃げ出すのに精いっぱいでな」
ヴァルテル : (そうか、この男が……)と、初めて肉眼で見た王の姿を観察しています。
KP : ボードゥアンの姿は酷い尋問を受けたのか、だいぶやつれています。
KP : 今は覇気がないながらも、どこか威厳ある瞳がきらりと光っています。
ヴァルテル : 弱っている王の姿に、短剣の血をぬぐっていた手に思わず力がこもりますが、(今は師匠がいるから)と衝動を堪え、「……行きましょう」とだけ短く、ぶっきらぼうに告げます。
傭兵テオン : 「ああ! 王様は俺の馬に乗って下せえ。ヴァルテル、帰るぞ」
KP : テオンは王様を乗せて、帰路を走らせます。
KP : それから暗い空の下をしばらく走り続けた、帰路の事です。
KP : 丘の向こうから新しい追手の足音が聞こえてきます。
KP : また、テオンの様子がおかしいことに、ヴァルテルは気づきます。
ヴァルテル : 「……師匠?」
ヴァルテル : と、気遣うような、様子をうかがうような目を向けます。
傭兵テオン : 「う……ぐ……」
傭兵テオン : 「こんなところで、ツキがなくなっちまったのか?」
KP : テオンの怪我していた腕側の手が、変色し緑色になっています。
ヴァルテル : 「その手っ……まさか、毒……!?」
傭兵テオン : 「くそ、くそ、くそ、チャンスだっていうのに! 今、帰ったら……俺は……」
傭兵テオン : 「俺は、余裕ある生活と共に暮らすんだ……そうだろ?」
傭兵テオン : 「そうだろぉ……」
KP : テオンは悔し涙を流しています。
KP : 追手の馬の足音がさらに近づいてきているのが分かります。
ヴァルテル : 「師匠。気をしっかり持ってください! ……大丈夫ですよ、駐屯地に戻ればなんとかなります。きっと……」と、弱っているテオンの姿に激しく動揺しつつ、彼を励まします。
傭兵テオン : 「……ヴァルテル」
傭兵テオン : 「チャンスは二度とめぐってくることはねえんだ」
傭兵テオン : 「……」
KP : 俯いた後、彼は国王の身柄をヴァルデルに渡します。
傭兵テオン : 「お前の方が戦える」
傭兵テオン : 「だから、こいつはお前が連れて行ってくれ」
ヴァルテル : 「ちょっ……、と、……何諦めてるんですか、止めてくださいよ」
KP : 追手の馬の足音がさらに近く、近くなっていくようです。
ヴァルテル : 「くそっ……師匠、あんた、こんなところでくたばるような男じゃないでしょう!」
傭兵テオン : 「へへへ……」
傭兵テオン : 「すまねえな」 テオンはヴァルテルの頭を撫でます。そして、懐からあの黄昏の鍵を取り出します。
傭兵テオン : 「お前を縛るものは何もねえ、チャンスを……チャンスを逃がすな。絶対だぞ……!」
KP : テオンは力強く声を掛け、鍵を貴方に渡します。
ヴァルテル : 「い、いやだ、……あんたまでいなくなったら、僕は……」と涙を浮かべていますが、ごくりと喉を鳴らして国王の身柄と鍵をしっかりと受け取ります。
傭兵テオン : 「いけ! ヴァルテル! お前の未来にために」
そして馬を旋回させ、後方へ向けると……
KP : テオンは馬を追手がいる方向へと突進していきます
ヴァルテル : 「テオンッ!師匠っ……、くそっ、くそぉっ……!」
ヴァルテル : 慟哭しながらも、父親同然に育ててくれた傭兵の犠牲を無駄にしてはならない、と馬を駐屯地に向けて全力で走らせます。
KP : 貴方は掛けていきます。向こうで兵士たちの戦いの音がしないくらいに。馬を走らせ、チャンスを逃さないために生き抜くために
KP : ただただ馬を走らせました。
KP : 駐屯地に帰ってきました。
KP : 兵士の一人が、あなたがボードゥアンを連れているのを発見すると、駐屯地が沸き立ちます。
KP : それは、自分たちが生還することができる可能性がめぐってきた、生への喜びでした。
ヴァルテル : 湧きたつ兵士たちの様子とは裏腹に、ヴァルテルは魂が抜け落ちたような顔をしています。
KP : 国王は、医務室へ運ばれていきます。タンカに乗せられて。
国王ボードゥアン : 「ヴァルテルと言ったか……休息したら、私の指令室へ来てくれ」
ヴァルテル : 「……」ヴァルテルは一瞬冷たい目を王に向けた後、無言でうなずきます。
KP : 王は医務室の方へと運ばれていきました。
KP :ヴァルテルは休息しますか?
ヴァルテル : はい、します。テオンが使っていたテントに向かっても大丈夫でしょうか。
KP : 大丈夫です。もう使う人も、他にないでしょう。
ヴァルテル : では、テントに入り、今朝まではテオンが使っていたベッドにゆっくりと腰を下ろします。
KP : 一人、だれもいない部屋にあなたは座っています。テオンが使っていた机や防具、装備のための備品などが無造作に転がっています。
KP : 生活の香りがしますが、今その主はいません。
ヴァルテル : 部屋をゆっくりと見まわしてから、机の上に目を向けてみます。
KP : そこには、ヴァルテルの名前が記載されています。
KP : いままで、取り立ててきた金銭のメモのように見えます。働いて、自分を買うためのお金ですね。
ヴァルテル : 「ちゃんとしっかり管理してたんだ……」と小さく呟いて、メモをもう少し詳しく見てみます。
KP : おかしなことに気づきます。
KP : 名前があるのに、金品の数値が書かれていません。
KP : かわりに、一番下に返済完了の印がすでに押してあります。
ヴァルテル : 「……なんだよ、これ。あんなにしつこく、金払え金払えっていっといて、……なんだよぉ……」と、メモを握り締めています。
ヴァルテル : 他にもなにかないか机を見てみますが、何かありますか?
KP : じゃあ、探索してみますか。
ヴァルテル : します!
KP : 目星どうぞ。
【ヴァルテル……コロコロ (目星)1D100<=65 出目 51 ⇒ レギュラー成功】
KP : 子供の絵と、わずかながらのためたお金が出てきます。
KP : 子供はどことなく、テオンに似てもいなくはないです。
KP : 自分の子だったのか、幼少期の絵なのか……定かではありませんが。
KP : その子のために貯めたお金だったのかな?とあなたは推測します。
KP : ここから出てくるものは、これくらいだと思います。
KP : どうしますか?
ヴァルテル : では、お金と子供の絵はそっと元の場所に戻して、テオンが使っていた装備類を見てみます。
KP : 貴方より大きい、装備がごろごろしてますね。
ヴァルテル : では、一つ一つ確かめてから、ベッドに戻ります。
ヴァルテル : メモ書きを持ったままだったので、それは懐にしまっておきます。
KP : はい
ヴァルテル : 他に調べられそうな場所はもうないですか?
KP : ないですね。これだけです。
ヴァルテル : わかりました。
ヴァルテル : では、なんとなくベッドに横になる気はせずに、座ったままで夜を明かします。
KP : では、朝焼けと共に駐屯地が騒がしくなります。
KP : 司令官が返ってきたとともに、軍備が再建されているのでしょう。
KP : 出ますか?
ヴァルテル : はい。赤い目をこすってから、ふらふらと外に出て様子をうかがってみます。
KP : 朝焼けと共に穏やかな空気が支配しています。
軍備に走り回る傭兵たちの顔は元気そうです。
KP : コンスタンティノープルに帰れるぞ!と声が聞こえてきます。
ヴァルテル : 「……ふん」と投げやりに鼻を鳴らして、あてもなく駐屯地を歩き回ってみます。
KP : 指令室は行きませんか?
ヴァルテル : あっ、そうだった
ヴァルテル : しばらくぼんやりしてから、指令室に呼ばれていたことを思い出して、渋々向かいます。
KP : はい、指令室に入ると、司令官の洋服に着替えたボードゥアンが迎え入れてくれます。
国王ボードゥアン : 「よくきた。待っていたぞ」
KP : 先程までの傷ついた様子とかわって、意欲漲る眼差しと溌剌とした声で貴方を労います。
ヴァルテル : 「……僕になにか、御用でしょうか」と、ぶっきらぼうに聞いてみます。
国王ボードゥアン : 「なに、助けてもらった身。報酬を渡したいとおもっていてな」
国王ボードゥアン : 「今回の働き、ご苦労であった。そなたの剣の腕、力強さ、何をとっても素晴らしく思う」
ヴァルテル : 「……はあ」と、気の抜けた返事をしましょう。
国王ボードゥアン : 「……現在、わたしの義弟が後継ぎがいなく危機に瀕している」
ヴァルテル : (いきなり何の話だよ、という顔をしながら話を聞いています)
国王ボードゥアン : 「そなたを、その義弟の子として騎士の世界に迎え入れたいと思っているのだ」
ヴァルテル : 「はあ……、はい!?」さっきと同じ調子で返事をしてから、ぎょっとした顔で聞き返します。
ヴァルテル : 「それは、その……、あり、がとう……ございます?」と、複雑な顔でしどろもどろになりながら付け加えます。
国王ボードゥアン : 「ふふ、驚くのも無理はない。私はお前を気に入ったのだよ」
国王ボードゥアン : 「騎士の世界へ来たくはないか、ヴァルテル」
ヴァルテル : 「……僕は……」一瞬断ろうとしますが、そこでチャンスを逃すな、という師の言葉を思い出し、「願ってもないことです」と、幾分しっかりした声で返し、王の顔を見ます。
国王ボードゥアン : 「そうか、ではここに誓おう」
国王ボードゥアン : 「国王ボードゥアンがそなたに騎士という名誉を与える」
国王ボードゥアン : 「まあ、しばらくは見習いだが……精進することだ。たのしみにしているぞ? 未来の騎士、ヴァルテル」
ヴァルテル : 「……はい。必ずや、ご期待にお応えして見せます」
ヴァルテル : その場に跪き、胸に手を当てて頭を垂れますが……その瞳は、ぎらついています。
KP: 王は祈るように、託すように、貴方の頭を撫でました。そしてマントを翻します。
国王ボードゥアン : 「では帰還だ!コンスタンティノープルへ!」
KP : こうして、あなたの騎士としての人生が始まります。
KP : 待っているのは何なのか?待て、次回……です。
ザダルの黄昏 春野 一輝 @harukazu
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