嘘が嫌いで嘘つきな君

@ssksk

第1話

「好きです、付き合ってください!」

 何度言われたことだろうか、僕はこの言葉を何度も言われた。それによって僕はいつしか恋愛というものがわからなくなってしまった。

「ごめんね、今は勉強に集中したいんだ。」

 この言い訳も何度も使っただろうか。そんなことを考えているうちに僕に告白した子は背を向け走り去っていった。この時、涙が見えたような気もするが、正直もうどうでもよくなってしまった。男は女の涙には弱いといわれるが僕には当てはまらないような気もする。

「はぁ・・・、帰ろ。」

 そんなことをつぶやいて一人帰路に就いた。だれかこんな退屈な日から抜け出させてくれるこはいないだろうか。

それからいくつかの日をまたいだ時に先生から知らされたことがある。転校生が来るらしい。とても面倒くさい。しかも、その子はどうやら僕たちと同じクラスに来るらしく僕の席は一番後ろの端であり、ペアの人もいない。つまり、十中八九僕の隣に来るはずだろう。男だろうか、女だろうか。いやそんなことよりそいつは僕にとって害のある人間なのだろうか。「先生に対して転校生を別のクラスに送ってくれ。」という目で見ていると先生は、「あら、そんなにその子が気になるのなら一番のお友達になってあげてね!」と言われた。いや違う、そんなこと微塵も思っていない。と言いたかったが時すでに遅しということで、転校生の机や椅子の準備もなぜか僕に任された。なんでだよ、と心の中で愚痴りながらも愛想よく振りまいて思っていることはごまかした。とりあえず、転校生めんどくさいやつじゃないといいなと思いながら、過ごしているとそいつがやってくる日になった。その日のホームルームに先生が合図をした。

「それじゃ、入ってきて。」

「失礼します。」

そういい扉をあけ、教室に入ってきた。なんだかほかの奴よりも大人のようでありながら、清楚のような感じもし美人である気がする。

「はじめまして、私の名前は中村涼香といいます。初めての転校で今も緊張していますが、みなさんよろしくお願いします。」

そういうとクラスの男子は声を挙げて喜び、女子は「よろしくね!」と軽い挨拶をしていた。

「それじゃ、中村さんは一番端の人の隣の席でお願いね。」

「わかりました。丁寧にありがとうございます。」

そう言ってこちらに向かってきた。挨拶をしないわけにもいかないし、笑顔を作り、中村に顔を向けた。

「僕の名前は鈴村亮っていうんだ。中村さんよろしくね。」

「亮くんか、いい名前だね。これからしばらくの間よろしくね。」

そういい、中村さんは前の方を向いたため僕も前を向きその日のホームルームが終わった。授業が始まる前に中村の周りにたくさんの人が集まった。どこから来たのか、どうして転校してきたのかいろいろ聞かれていて僕は邪魔だと思い、席を立った。そんな時ある子が中村に対しこう言い放った。「いい子そうでよかった。」僕は中村の顔をふと見てしまった。笑顔で会話を続けているが、なぜだろう。あの子はなんだか悲しいような顔をしていたような気がした。

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