第20話 クリスマスデート
今日は12月25日、クリスマスだ。
綾花は珍しく風花より早く起きた。
と言うより風花が起きるのが遅かっただけだが……
綾花は風花の部屋の扉をノックする。
「ねぇね? 朝だよー」
「……」
「ねぇね……?」
「……」
返事が無い。
心配になり部屋に入った綾花。
「ねぇね……」
風花はまだ寝ていた。
子供のようにぐっすり寝ている。
小さな寝息が聞いていて心地よい。
「ねぇねも可愛いじゃん……」
そう呟く綾花。
「綾花ぁ……大好きぃ……」
「っ……! 何言ってんの!」
そう言い慌てる綾花。
ただ風花は寝ぼけているだけだった……
「綾花……好きだよ……」
そう言って虚ろな目を向けてくる風花。
まるで自らの意思でなく本能で動いているかのような感覚……
そんな中、右手で綾花の頬を包み、左手で首の後ろを包む。
そして綾花の顔を自分に近づけた。
「うわぁ、何すんの! ねぇね!」
そんな声も届かず、風花は右親指を唇まで移動させる。
そして……
「ん!」
そのまま親指が口の中に滑り込んだ……
と同時に風花の意識がはっきりとする。
親指に熱くとろけそうな感覚が走る。
「うわぁ! 私何して……!」
「もう知らないから!」
そう言って頬を膨らます綾花。
怒っててもやっぱり可愛い。
「ごめん……」
「べ、別に? これくらい気にしないけど……?」
そう言って、そそくさと部屋から出る綾花だった。
部屋に残された風花は親指を眺める。
まだ親指は濡れてぬめぬめしている。
綾花の唾液……
寝転んだまま風花は、その親指を咥える。
その姿はまるで子供のようだった……
・ ・ ・
風花は自分の行動を思い出し、恥ずかしくなっていた。
「綾花……さっきはごめん……」
「もういいって、気にしないで……それより早く準備してデート行こ?」
やっぱり綾花は優しい……天使だ……
「そ、そうだね!」
風花はそう言って部屋に戻っていく。
そして準備が終わり、リビングに戻ると……
「綾花……可愛い……」
めちゃくちゃ可愛い綾花が……ってこれ、メイクしてるな……
「そ、その……ねぇねも……可愛いじゃん……」
(えぇぇぇぇぇぇぇ!)
「あ、ありがとう……」
お互いめちゃくちゃ照れた。
そして言葉に詰まった。
「それじゃ行こっか?」
そう言ったのは綾花だった。
「うん! 行こ!」
そのまま2人は手を繋ぐ。
繋がれた手はやはり恋人繋ぎだった……
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