第17話 スカート大事件。

「ねぇね? スカートも履きたいんだけど?」

「あ、あぁ……はい……」


そう言ってスカートを渡す風花。


パサッ……


綾花は遠慮なく着替え出した。


「うっ……」


さすがにやばいと思いとっさに目を閉じる風花。

何がやばいかって? そりゃ……その……ズボンがさ……パサッて……つまり…………

よし。これにも触れないでおこう。


「ふーん? 急に目を逸らしてどったの〜ねぇね?」


悪戯な笑みを浮かべる綾花。

ただ目を閉じている風花はそんなこと気づきようが無い。


「い、いや……なんでも……?」


無理に強がる風花に綾花がわざとらしく言う。


「イヤー、コマッタナー、スカートガハケナイヨー」

「いや履けるだろ」

「イヤー、ワカラナイナー、そだ! ねぇねが履かしてよ?」

「は、は、はぁ!? 無理だって!」

「いいから〜」


そう言って綾花は風花の頬を手のひらで包む。


(あぁ……温かい……)


「ねぇね? なんか変なこと考えてない? いいからこっち見て!」


そう言ってグイッと顔を前に引っ張られる。

そのまま前に転けそうになりつい目を開けてしまった。


「う、うぅ……まずい……」

「へへへー、どうよこの姿〜? 可愛いでしょ?」

(可愛い通り越してもう……も、もう……エ……あ、相手は妹だぞ? 何考えてんだ私!)


とっさに自分の考えを否定する。


「そ、そ、そんなこと言ってないで早くスカート履きなさい!」

「ダカラー、ハキカタガー、ワカラナインダヨネー」

「も、もう分かったから! スカート貸して!」

「は〜い」


綾花はそう言ってスカートを渡した。

そして風花はなるべく……見ないようにしてスカートを履かした。


「あぁ……やっぱりあんた可愛いわぁ……」

「でしょ〜?」

「うんうん、あんな生意気だった弟がこんな可愛い美少女になるなんてねぇ? 姉ちゃん想像もしてなかったよ」

「うるさいな! 引きこもりゲーマー反抗期で悪かったな!」

「別にそこまでは言ってないし、まぁあってるけど」

「せめて否定してくれ! 傷つくぞ!」

「はいはーい」


そんな他愛もない話をしていると……


ピンポーン


玄関のベルが鳴った。

そして風花が笑みをこぼす。


「あぁ、ついにきた!」

「え? 何がー?」

「ふふふー、なんでしょう?」


そう言って小走りで部屋を出ていく風花。

そして……


ご・ふ・ん・ご


風花がまたまた小走りで帰ってきた。


「荷物? 何届いたんだ……よ……って……」


風花は大量の服を抱えている。


「も、もしかして……?」


そう、そのもしかしてだ。


「ファッションショーするぞ?」

「やったー!」


第1回冬のファッションショー、開幕である。

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