第16話 綾花……温かい……

「そ、それじゃあ着替えるよ……」

「う、うん……」


風花が固唾を飲んむ。


「あ、その……恥ずかしいからあんま見ないで……」

「あっ、うん……」


そう言って風花は目を逸らした。

柄にも合わず素直になってしまう。

だってそりゃこんな状況、緊張するもん!


「ねぇね、ブレザー取って〜?」

「あっ、うん!」


そう言って風花は綾花の方を見た。

そして目の前にはあまりにも衝撃的な光景が広がっていた。

なんとも美しい……

ウエストはしっかり引き締まっている。

腹筋もうっすらと見える、筋肉質な方だろう。

ただ二の腕は少しふっくらとしている。

到底引きこもりだったとは思えないほどの美しさ。もはや神々しい。

そして……やっぱりロリだ。

その……えと……あのー……小さくて……よし! このことについては触れないでおこう!

そして風花は気づく。


「ん? シャツまで脱がなくて良くない?」

「ん? ん……わぁ! ほんとだ! こっち見ないで! ねぇねの変態!」


これに関しては明らかに綾花が悪い。完全な八つ当たりだ。

そして綾花は恥ずかし紛れに着ていた服を投げた。

さらにそれが風花の顔にクリーンヒット!

風花はそのまま後ろに倒れた。


(あ……やばいかも……温かい……)


もちろん原因は綾花が投げた服だ。

ついさっきまで綾花が着ていた服。まだ綾花の温かさが残っている。

風花はその温かさに背徳感を感じた。


(ほんとにやばい……めっちゃいい匂い……)


さらに服から甘い香りがしてくる。めちゃくちゃいい匂いだ。うっとりして酔いしれるような甘い香り……

おかしいな……使ってる柔軟剤同じはずなんだけど……


「ねぇね? 何ボーッとしてんの? もうブレザー着れたよ〜? 似合うでしょ!」


そう言ってブレザーにかかった髪を払う。

そしてまたもや甘い香りが漂う。

めちゃくちゃいい匂いだ。上品なお花の香りがする。

あれ? シャンプーも同じはずなんだけど……


「いい匂い……」

「え? いい匂い? そうかな〜? ってか服の感想まだなの!?」

「あ、あぁ……そっか……」


慌てふためく風花はとっさに目を逸らす。

そんな様子を見て悪そうな笑みを浮かべる綾花。


「ふーん? 可愛くて直視出来ないんだ〜?」

「そうだよ! 直視出来なくて悪かったね!」

「えぇ、あぁ……そっか〜、素直なねぇねも良いね! 可愛い!」

「う、うぅ……」


完全に綾花にペースを持っていかれる風花だった。





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