第15話 セーラー服と嘘
家に帰ると綾花は本を持って部屋にこもった。
もちろん風花は寂しい。ので……
「綾花ー、部屋入っていい?」
「え、ダメ」
「はーい」
バタンッッッッ!
勢い良く扉を開けたせいでドアノブが壁にぶつかる。
「だからダメって言ったじゃん!」
「えー、別に良いじゃん!」
「ダメだって、なんで入ってくるの!」
「ふーん、私に口答えしていいんだ?」
「うぅ……」
そう言われると綾花は言い返すことが出来なかった。
だって綾花は重度のシスコンだから……
「分かったよ……これからノックしたら入っていいから、めんどくさいしもう聞かないでよ!」
「え、反応可愛いしやだ」
「なんでだよ! ほんとやめてって!」
「ふーん、口答えするんだね……」
そう言って悲しそうにうつむく風花。
「もう、分かったから! ごめんね!」
「はい、よく言えました〜なでなでしてあげよう!」
「いいって! やめろ!」
そうは言ったが綾花はとても嬉しそうだった。
可愛い。
「そうだ! 本題に入ろう!」
「どったの? ねぇね、珍しく真面目だ……」
「うるさいね! 細かい手続き終わったから来月から学校行けるよ」
「まじで!?」
「うん!」
「とは言ってもな〜めんどくさいし行きたくないな〜」
「モテるよ?」
「よし! 行く!」
やっぱり単純な綾花だった。
「てかどうやったの?」
「ん? 何が?」
「学校入るんに書類とか色々あったでしょ?」
「うん」
「どうやって作ったの?」
「あ、あぁ……えぇと、あはは、とりあえずそこはどーでも良いじゃん! 転校生ってことになってるから! それでよろしく!」
「お、おぉ……」
詳細には触れない方が良さそうだ。
「てことで〜ジャーン!」
「うわぁ! 懐かしい! めっちゃ可愛い!」
風花の手にはブレザーが握られていた。
「あぁ、そっか〜あっこの中学校通ってたもんね〜」
「てことは中学校自体は今までと変わらないの?」
「うん、だからボロ出さないようにだけ気をつけて〜、あんたは綾花であってもう綾人では無いんだから!」
「大丈夫、ずっと学校行ってなかったから、みんなにはあんまり知られていない!」
(寂しいこと言うなぁ……)
「そっか、あんた引きこもりだったもんね!」
風花はいつものようにおどけてみせた。
そしてついに待ちきれなくなった様子で綾花が言う。
「早くそれ着させて! 見たことはあるけど着た事は無いから!」
「ほほう? 楽しみなんだ〜?」
「うん! 僕が着たら絶対可愛いもん!」
(ま、まぁそうだろうけどさ……自分で言うなよぉぉぉぉぉ……)
「は、はい」
「で? ねぇねいつまで部屋にいるの?」
「え? なんで?」
「なんでって着替えるからでしょ!」
「いやいや〜女子同士ならこれくらい気にしないよ〜」
もちろんそんなことは無いし、風花は綾花の前で着替えることなど出来るはずがない。
ただ綾花はまだ女子になったばかりなので細かいことは分からない。
「えぇ……そうなの……」
「うん、そうだよ」
「わ、分かった……じゃあ居てもいいよ……」
(はい、ちょれー!)
良かったね! 風花!
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