第14話 解けない雪は無い……
「ねぇ綾花〜、この後ショッピングモール行かな……」
「行かない、早く読みたい」
「えー、そんなー!」
「いいから、帰るよ」
「やだー!」
駄々をこねる風花。
「いいから! 帰るよ!」
必死に抗議する綾花。
これではまるでどっちが姉なのやら……
「ん、冷たっ……」
「わぁ! ねぇね! 見てよ! 雪!」
「ほんとだー! 綺麗だね!」
風花の横を冷たい風が吹き抜ける。
「うぅ、寒っ……」
「確かにー、もう冬やからねー」
「今日の綾花が冷たいからだよ……」
「まだ言ってるのかよ、しつこいなー」
「ま、まぁ……寒いし? ちょっとだけならショッピングモール行ってやっても良いけど?」
「ほんと? やったー!」
なんやかんやショッピングモールに向かう2人だった。
・ ・ ・
「ねぇ、綾花? あれ見て?」
「う、う、うぅ、うわぁ……うわぁ……」
(何そのリアクション、可愛いんだけど……)
困惑する綾花。綾花が見たものは……
「何あのセーター……めっちゃ可愛いじゃん……」
ニットセーターだった。
純白の白が美しさを引き立てる……
「よね、買う?」
「うん、絶対買う」
セーターに一目惚れした2人は、値段を見る前にレジに向かっていた。
「こちら1点で1980円となります」
「え? 安すぎない?」
「いや……ねぇね、1980円は普通に……安いわ! ほんとに安いやつだ!」
「だよね、店員さん! すいませんもうちょっと待っててもらえる〜?」
「あっ、はい! 大丈夫ですよ!」
「ありがとー」
そうして走り去る風花。
その姿虎の如し。めちゃくちゃ速い。
い・っ・ぷ・ん・ご
「お待たせしましたー!」
「えっ……ねぇね……それ何……?」
「セーターだよ?」
「いや、見りゃ分かるけど……」
風花の手には大量のセーターが抱えられていた。
その数23着。
元々1着持ってきていたので計24着だ。
「これも買いまーす!」
「あっ、は、はい……では……お会計の方24点で47520円となります……」
「うん! 安いね!」
「いや! 高いから! 普通に高いよ!」
「そんなことないのー!」
金銭感覚がバグっている風花だった。
なんやかんやあってショッピングモールを出る2人。
外は少し雪が積もっていた。
風花が、まるで雪に溶け込むかのように白い手を差し伸べる。
「それじゃあ、帰ろっか?」
「うん!」
弾むようなステップでその手を取る綾花。
繋がれた手はとても温かかった。
このまま雪が溶けなければ良いのに……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます