第34話
僕は教室で一人考えていた、僕の靴箱にゴミを入れてくるやつを見つける方法を。解決するにしてもその実行犯が分からない限りは何もできることがない。
︎︎見つけるにしてもこの学校の男子はいっぱい居るし、探そうにも今の状態じゃ厳しすぎる。
今回は単純な嫌がらせとをして琴歌さんから僕を離れさせようとしてる。だから僕が学校に行かずに逃げることは相手にとっても都合がいいことだろうし、逃げずに解決しないといけない。
︎︎琴歌さんと一緒にいると言ったら湊もだけど……まぁ湊の靴箱にゴミを入れることなんて出来ないよね。
湊は僕と違ってイケメンだし運動もできる、湊だったら琴歌さんと一緒にいても問題ないぐらいのスペックは兼ね備えてるしそいつらも狙ってないんだろう。まぁ一応湊にも相談してみようかな、黙ってるだけの可能性もあるし。
琴歌さんたちの関わるようになってから楽しいことの方が断然に増えたけど、問題に関わる数も多くなってきたなぁ……。やっぱり誰かと関わりを持つってことはそういう問題と隣り合わせになるってことなのかな。
「どうした? そんな深刻そうな顔をして」
「うわっ!? いつの間に僕の前にいたのさ。僕、そんな深刻そうな顔してた?」
「結構してたぞ? なんだ、またなにか巻き込まれでもしたのか」
実際結構深刻なことだし、自分が気付かぬ間にそんな顔になっていたのかもしれない。
「最近靴箱にゴミを入れられてることが多くてねぇ。正直やってる側は僕を琴歌さんから離れさせたいんだろうけど、僕は面倒臭いとしか思わないからね」
そう言いながら今日入ってたゴミを机の中に出すと、湊が口を開いた。
「ん? これ学校の購買に売ってるパンの袋だろ。あそこはすぐ売り切れるから買えるのは食堂に一番近い一組のやつぐらいだと思うけど」
「んじゃあ実行犯は一組の男子である可能性が高いってこと?」
「まだ断定は出来ないけど、この袋は比較的新しめのやつだし七割ぐらいはそうなんじゃないか?」
でも、その情報だけじゃまだ解決することは出来ないだろう。何時入れてるのかも確認したいところだけど、正直学校で監視しておけるほど僕には時間が無いんだよね。
「朝だと僕より早く行かないといけないからほとんどないとして、昼休みか……放課後か、何時だろうね? それが分かればその時間に張り込みすればいいし」
「なら昼休みに一回見に行くか。この前のお礼だ、解決するまで付き合うよ」
「助かる。ひとまず昼休みまでは何もすることないし普通に過ごしておこうよ、琴歌さんに勘づかれないためにも」
「まぁそうだな」
琴歌さんは前の時もそうだったけど、自分のせいでと思っちゃうからね。別に琴歌さんは何も悪くないんだから僕のことで責任を感じて欲しくない。
§
そして昼休み、購買に行ってみたけどさすがにこの中から見つけろというのは無理があるのでご飯を食べながら購買でパンを買った男子たちを横目に見ていた。この後に靴箱に向かった男子が犯人の候補である。
「うーん、予想してたけど靴箱に向かう人なんて普通はいないよね。昼休みはみんなご飯食べるだろうし、入れたのならもう少しあとかな」
「というか普通にやられてることはいじめに入るだろうし、先生に言えば何とかしてくれるんじゃないか?」
「でもまだ誰がやってるか分からないんだから先生も動きようがないでしょ。まずは実行犯を見つけてからだよ」
ご飯を食べ終わった僕達は、時間が許すまで靴箱を見ておくことにした。
「今気づいたけど昼休みに入れられてることは絶対ないじゃん、盲点だった。それだったら帰りの時に気づくし、入れられてるなら僕が帰ったあとか僕が来る前かのどっちかだね」
「確かにそうだわ、なんで気づかなかったんだろうな。それじゃあ戻ろうぜ、放課後は俺が張り込んどくわ」
「じゃあ頼んだよ」
§
昼休みは少し考えてなくて時間を無駄にしたけど、とりあえず俺は帰らずに見張るか。まぁもし放課後じゃなくて朝に入れてるとしたら今の時間も完全に無駄だが、これも天の為だ。
「怪しいヤツは……いたわ、ゴミ持ってるし可能性があるとしたら絶対あいつじゃん」
お、入れるのか? そのまま天の靴箱を開いて……入れた。
「そこのお前、そこ他人の靴箱だよな? なんでゴミを入れようとしてる、そこはゴミ箱じゃないんだぞ」
「あ? こいつが悪いんだよ、顔がいい訳でもないしただのチビで小物くせに琴歌さんと仲良くしやがってよ。邪魔なんだよ、あいつが」
「別にお前は琴歌さんの何なんだ? あと、俺はこんなしょうもないことをやってるお前の方がよっぽど小物だと思うけどな? 嫉妬で嫌がらせなんてな、馬鹿らしい」
天ってよく琴歌さん関係で問題に巻き込まれてるよな。二人が悪いって言うつもりでは無いけど、例えるなら琴歌さんが芸能人で天が一般人、その二人が話していて他の一般人はその芸能人と話せない状態、だから嫉妬してその天という一般人を退かそうとしている。
「お前ちょっと、着いてこい。その口を閉ざしてやる」
「いいのか? 校内で暴力沙汰を起こそうものなら普通に停学ものだ」
天の時は場合が場合だったし、天が一方的にやられていたので天には何も罰はなかった。ここで俺が乗って、一発でも拳を振るったのなら俺も罰の対象となる。
︎︎喧嘩には乗るが俺は一切手を出さない、ただ飛んでくる拳を避けるだけの簡単なことをする。
「まぁ言葉じゃもう解決出来無さそうだし、着いて行ってあげるよ。でも……後悔しても知らないぞ?」
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