第33話

昨日いつの間にか机で寝落ちしてたみたいで体が痛い、寝落ちするなんてここに来てから初めてな気がする。まぁ最近体育祭の事だったり、女装させられたりで大変だったし疲れが溜まってるのかな……。

 ︎︎でももうすぐ夏休みだし、早めに課題終わらせて少しのんびりしようかな。


そういえばなんで僕にブランケットがかかってたんだろ、かけながら勉強した覚えは無いけどな……別に気にしないでもいいか。


リビングに向かうと既に琴歌さんが起きていて、僕の代わりに朝ごはんを作ってくれていた。


「おはよう琴歌さん、僕の代わりに朝ごはん作ってくれてありがとう。それと僕にブランケットをかけたのって琴歌さん?」


「おはようございます天さん、夏だとしても何もかけずに寝ると風邪を引いてしまいますからね。それと、ちょっとお姉ちゃんを起こしてきて貰ってもいいですか? いつも通り起きてこないので……」


「ん、わかった」


いつも通り琴理さん達の部屋をノックするけど反応は無い、それで中に入るとブランケットにくるまって寝てるんだよね。


「琴歌さんがリビングでご飯作って待ってるから早く起きて琴理さん、起きなかったからブランケットを無理やり剥がすよ?」


結構な強行手段だけど、そうしないと起きない琴理さんが悪いよね。普通に声掛けたり、多少揺さぶる程度じゃ全然起きないんだから。


そしてそのまま案の定ブランケットを剥がしたんだけど、服がちょっとはだけていたので直ぐに戻した。うーん、男が居るって言うのに無防備すぎるんだよなぁ……もうちょっと僕がいるってことを意識して欲しい。

 ︎︎いや琴理さんを僕が起こしに行くのが間違ってるのかな、多分琴歌さんが起こしに行くのが最善策だよね。


「琴理さん起きてー、朝ごはんできちゃうから。というか学校あるから遅れちゃうよ?」


「んぁ……天おあよぉー。着替えてすぐに行く、から先に琴歌と食べておいてー」


まだ呂律が寝てるけどとりあえず琴理さんが起きたし僕はさっさと部屋から出よう。まだ視界がはっきりしてなかったのか分からないけど、この前僕がまだ部屋にいるのに服脱ぎ始めたからね? 男女で同居してたら何も起きないはずは無いよね。



§



未だに同居してることは友達にしか明かしていないので僕は一人で登校してるんだけど、道の途中で天海さんに声をかけられた。


「おはよー天くん、こんなところで会うなんてね? 夏休み楽しみにしてるよー!」


「夏休みはもうちょっと先だよ? その前にテストがあるでしょ、そっちの学校はどうか知らないけど」


「こっちもちゃんとテストあるけど、そっちのよりはだいぶ簡単だと思うけどね。まぁそこそこの点数とって夏休みに遊ぶつもりだよ」


そのまま天海さんと途中まで一緒に歩いて、そこから別れて僕は学校に向かった。家出るのが早すぎるのかな、天海さんと話していても学校の前の通りに人はほとんど見えない。

 ︎︎そのまま教室に入ってもいつも通り琴葉先生が掃除をしているだけだった。


「お、いつも通り来るの早いな。他に誰もいないから言うが夏休みには一応三人で帰って来るんだよな?」


「一応そのつもりですけど、夏休みのいつになるかは分からないですよ? 僕だって最近は遊ぶ予定もできるようになってきましたから」


と言っても普通よりは少ないだろうけどね。今のところ夏休み内で一日しか予定は埋まってないし、正直どこかに行こうとも思っていない。


「それでだ、おそらく泊まりになると思うから色々用意は持ってくるうにな。天は持ってくる必要あるか知らないが」


「僕の部屋はそのままですし、多分もの物も残ってると思いますけどね。僕が今住んでる家は父さんの友達が買った物しか置いてないですから」


実家から今の家に持ってきたものといえばスマホの充電器とか歯ブラシとかの小物ぐらいな気がする、あと枕。

 ︎︎子どもっぽいかもしれないけど、僕は小さい頃から使ってた枕じゃないと寝れないんだよね。


「帰省とかの話は置いておきましょうよ、夏休みはまだですし。あと何日かしたら大事なテストがあるんですから」


「別に天からしたらなんの問題もないんじゃないのか? いつも通りの点数を取るだろう。私はよく頑張れるなと思うぞ? 天の周りには褒めてくれる人も、応援してくれる人もいないというのに」


「褒められるのはもっと立派になってからでいいんですよ。僕がもっと大人になった時にまで残しておきます」


僕ガ目指してるところまで辿り着いた時に、父さんに報告して褒めてもらおう。それまでは努力の積み重ねだ、まだ目標に全然届かないから届くまで努力し続けよう。


そして他の生徒が来始めたので琴葉先生との話をやめて僕は本を読み始めた。湊か琴歌さんが来るまで本を読んでおこうかな、まだ話せる人は少ないけど……話せる人がいるだけで昔の僕から変われたと断言できる。


まぁ、友達を増やすことよりまずは琴歌さんと話していることに嫉妬して僕に嫌がらせしてくる男子をどうにかしないとなぁ……今日だって靴箱に色々ゴミが入ってたし。

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